「孤独死や闇バイト」住宅を危険から守る最新技術…「スマートライフ」サービスで豊かな暮らしになるか(2025/03/16)

米中に出遅れ「日本のスマートホーム」普及のカギ―データ連携サービスで大企業がタッグを組む訳(2025/03/05)

バブル回避へ日本の住宅政策が採用すべき視点―「年収倍率」はついに10倍を突破(2025/01/10)

<2024年>

「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み―フィジカルインターネットは物流危機を解決するか(2024/10/14)

建設業の深刻すぎる「人手不足」解消に必要なこと―一括請負方式の生産システムを見直せるか(2024/09/22)

建設業で若者が職人になりたがらない根本原因―仕事量で給与が変動する不安定な給与形態(2024/09/21)

「日本流の戸建て住宅」がアメリカで売れる理由―積水ハウスと住友林業・大和ハウスで戦略に違い(2024/07/07)

部屋探しの「不動産ポータル」が役割を終える日―生成AIの活用が加速、「AI不動産」の現実味(2024/04/17)

<2023年>

都心再開発で日本の国際競争力は上がるのか―東京の分譲マンション平均価格は1億円を突破(2023/11/20)※

神宮外苑だけじゃない「東京圏のスタジアム問題」―需要を見据えた長期的ビジョンや全体計画が必要(2023/11/09)

大阪万博「工事遅れ」背景に施工能力不足の深刻―大規模災害の復旧復興への対応をどうするか(2023/09/07)

日本の既存住宅「省エネ対策」が遅れる残念な事情―データスペースエコノミー時代のデータ戦略(2023/02/11)

<2022年>

平気でネット通販する人が知らない「2024年問題」―タイムリミットが迫る物流危機を回避できるのか(2022/12/09)

「ゼネコン新局面」不動産開発ビジネスの焦点―危機の教訓を経て、提案力が必要な時代に(2022/09/12)※

東京ドームの「顔認証」実際使ってわかった不便さ―入場時は顔パスでも再入場時は紙チケにハンコ(2022/06/02)

不動産会社主導の「公園再開発」に欠けている視点―神宮外苑“幻の再整備計画"のキーマンを直撃(2022/05/26)

神宮外苑「樹木伐採」再開発の前にあった幻の計画―複数の公園を「緑のネットワーク」でつなぐ案も(2022/05/24)

日本の住宅設備「デジタル化が進まない」根本原因―「スマートホーム」が本格普及しない理由とは(2022/02/10)

部屋探しで「オトリ物件」が排除される驚きの未来―「不動産ID」が導入された不動産業の将来を予想(2022/01/20)

<2021年>

マンション修繕費問題「ドローン」が救う納得の訳―人手に頼ってきた点検・維持管理をDX化する技術(2021/09/29)

大和ハウス、デジタル化で挑む売上高10兆円の壁―ハウスメーカーの雄は建設業をどう変えるのか(2021/07/28)

マンション価格「人工知能の査定」が高精度なワケーデジタル化の遅い不動産業界でAIが本格普及へ(2021/07/15)

愛知県西尾市、泥沼化した「PFI事業見直し」の行方―4年前から協議進まず再び選挙へ突入のワケ(2021/06/08)

不動産登記「オンライン申請」実践して見えた課題―どこまで行政手続きの電子化を進められるか(2021/05/31)

「出社削減」その先に起こるオフィスの大変化―「5G」と「AI」が今後のオフィスづくりのカギに(2021/04/23)

コロナ禍の「自宅DIY」に立ちはだかる意外な壁―求められる「住宅履歴」の適切なメンテナンス(2021/01/11)

重要度が増す「防災」意識―「水害ハザードマップ」に注目(2021/01/08)※

<2020年>

脱ハンコの先「都市のデジタル化」で来る大変化―日本で進む「スマートシティ」実現への取り組み(2020/10/19)

GAFA対抗「日本型スマートシティ」に勝算あるか―人口増加を見込む「世界の都市」へ売り込む作戦(2020/10/17)

日本が「都市のIT化」で世界に遅れた苦い事情―「スマートシティ」が日本で実現しなかった訳(2020/10/15)

建設職人324万人「就労管理構想」の高すぎる壁―行政主導で開発した大規模システムで混乱(2020/09/30)

住宅リースバックがにわかに活気づいている訳―自宅をいったん売却して賃貸する資産活用法(2020/06/05)

不動産の「来店不要取引」がいま俄然注目の訳―普及局面に加え、新型コロナでも注目されるか(2020/02/24)

<2019年>

埼玉「芝川」氾濫も大半の住宅が難を逃れた背景―台風19号の増水で見沼たんぼが果たした役割(2019/10/31)

「空き家数」の増加にブレーキがかかった不可解―5年前比で空き家率は0.1%増にとどまった(2019/05/10)

施工品質が「人」によって左右される大問題―建設現場の「技術の見える化」が必要な理由(2019/04/28)

建設現場の外国人「処遇改善」で日本人と大差―建設キャリアアップシステムで何が変わるか(2019/04/15)

<2018年>

BIMは不適切コンサル問題の救世主か―3Dの建設設計図で「見える化」(2018/11/30)※

首都圏で地盤が不安な地域は一体どこなのか―想定外の災害に備えリスクを調べておこう(2018/09/18)

ハザードマップ超活用法―災害リスクから家を守る(2018/09/14)※

「木造」にプレハブメーカーが参入する事情―プレハブ工法のコスト低下にも限界がある(2018/08/31)

日本の戸建住宅を襲う「ガラパゴス化」の懸念―規格バラバラ「プレハブ住宅」のシェアが低下(2018/08/30)

ニュー新橋ビルのすぐには解決できない悩み―多数の区分所有が耐震強度不足問題を複雑に(2018/05/04)

六本木ロアビルが姿を消さざるを得ない事情―東京都の耐震強度不足ビル「実名公表」の波紋(2018/04/25)

高級物件狙う外国人投資家の事情―観光兼ねた投資ツアーが人気(2018/04/14)※

将来5割減?「オフィス」に迫り来る構造変化―不動産大手がベンチャー支援を始めるワケ(2018/04/03)

東大閥が産官学すべてを牛耳る―建築・土木の人脈を徹底解剖!(2018/02/10)※

ソフトバンクの狙いは?―日建設計、パシコンと提携(2018/02/10)※

業界期待のPFIに暗い影―契約後に相次ぐ計画見直し(2018/02/10)※

<2017年>

賃借と購入の損得―本当のコストで比較(2017/08/05)※

地域とつながるサ高住―地方移住という選択(2017/08/05)※

<2016年>

「解散」時代―老朽マンション(2016/12/14)※

タワーマンション―実は危ない(2016/12/14)※

田畑・山林の相続―放置なら将来に禍根も(2016/12/14)※

ゼネコンの未来を変える「3D改革」の衝撃―鹿島、大幅増益の知られざる立役者(2016/07/29)

労働者育成も“丸投げ" 根深い重層構造―施工不良の真因(2016/07/23)※

ICTがゼネコンを救う?―公共工事で急速に活用が進みだした(2016/07/23)※

<2015年>

マンション流通革命の前に立つ業界団体の壁―不動産価格推定サービスは波を起こすか(2015/11/19)

傾きマンション事件が起こるのは必然だった―民間建設工事にも問われる発注者責任(2015/10/27)

だから日本の中古住宅はいまだに買いにくいー政府肝いりのリフォームローンが不調なワケ(2015/08/06)

だから日本の中古住宅は一向に活性化しない―空き家問題の遠因にも?「物件囲い込み」の愚(2015/06/09)

神宮外苑開発が試金石―五輪レガシーをどう作る(2015/05/16)※

大手も駆け込む長谷工の施工力―受注シェアは一段と上昇(2015/05/16)※

セレブを狙い撃つマンション規約改定の衝撃―紛糾した「コミュニティ活動条項削除」の意味(2015/04/09)

鹿島と大成建設、トップ交代に残された宿題―"大政奉還"は先送り、日建連会長は誰に?(2015/02/26)

職人軽視の日本人が、建設業をダメにするー夢や誇りを持てなければ若者は集まらない(2015/02/01)

建設労働者の処遇改善が一向に進まないワケー10年がかりで取り組むプロジェクトの弱点(2015/01/29)

ゼネコンが自らの手で招いた「建設業の衰退」―外国人を入れても職人不足は解消に向かわず(2015/01/27)

<2014年>

その日、三菱自動車の社長は来なかった―「抜擢人事」の後に起きた裏面史を綴る(2014/12/31)

日産「セフィーロ」が獲った“幻”の特賞―20年前に起きた「事件」の真相を明かそう(2014/12/29)

知られざる、もう一つのカー・オブ・ザ・イヤー―自動車業界も注目した「あの日」を回顧(2014/12/27)

 

<2025年>

「外国人土地法」という幽霊法が現れた!―グローバル時代の都市問題を考える(2025-05-26:シニア)

なぜ大工は激減してしまったのか?―「夢と誇り」が持てる職業を目指して(2025-05-12:シニア)

日本はトランプ関税とどう向き合うべきか―「脱グローバル化」時代の経済交渉(2025-04-28:シニア)

会見感想文(2025年4月)情報サービス産業協会(JISA)生成AI活用プラ(2025-04-21:シニア)

あなたは実家を継ぎますか?―「お墓」のたたみ方を考える(2025-03-31:シニア)

住宅政策をアフォーダブルハウジングから考える―週刊東洋経済2025年1月11月号の記事を書いた訳(2025-03-03:シニア)

日産自動車は自力で経営立て直しを実現できるのか(2025-02-24:シニア)

フジサンケイグループの行く末を誰が担うのか?(2025-01-27:シニア)

<2024年>

住宅・建築業界はサーキュラーエコノミーへの移行をどのように実現するのか?(2024-12-30:シニア)

生活インフラとしてのネット環境の必要性(2024-12-09:シニア)

NTTの「IoG(インターネット・オブ・グリッド)」で電力網のスマート化は進むのか?(2024-10-28:シニア)

豊かで夢のあるモビリティ社会とは?(2024-10-14:シニア)

「囲い込み」問題に見る不動産業の“当事者能力”(2024-09-30:シニア)

スポーツを生かした街づくりをどう実現するのか?(2024-08-26:シニア)

掃除が果たす大切な役割とは?(2024-08-05:シニア)

「失われた30年」をもたらしたバブル崩壊の記憶(2024-07-29:シニア)

積水ハウスの米国戦略は成功するのか?(2024-06-24:シニア)

住宅価格の高騰はいつまで続くのか?―アフォーダブルハウジングから考える(2024-06-10:シニア)

離婚後の「共同親権」導入で子育て環境は改善するのか?(2024-05-27:シニア)

リニア中央新幹線は本当に必要なインフラなのか?(2024-04-29:シニア)

経済安全保障の目的はどこにあるのか?(2024-04-08:シニア)

「政治とカネ」がもたらした「失われた30年」(2024-03-25:シニア)

ゼネコンは持続可能な産業へと変われるのか?(2024-02-26:シニア)

東京都の木造住宅密集地域の防災対策は大丈夫か?(2024-02-12:シニア)

ダイハツの品質不正問題の原因は何か?(2024-01-29:シニア)

<2023年>

「政治とカネ」は日本経済にも影響しているのか(2023-12-25:シニア)

大規模再開発事業の「面積」を実感するには?(2023-12-11:シニア)

欧米と日本でオフィス需要に違いが生じている理由は何か?(2023-11-27:シニア)

ジャニーズ問題から考える「エンタメシティ」の未来(2023-10-16:シニア)

スタジアム問題から見た神宮外苑再開発(2023-09-25:シニア)

ウォーターマネジメントには何が必要か?(2023-09-04:シニア)

米取引委、Amazon提訴 プライム会員「同意なく登録」(2023-07-31:シニア)

人口減少時代の国土づくりを考える(2023-07-18:シニア)

「電線」問題を考える―電力ネットワーク戦略の必要性(2023-06-12:シニア)

日銀が25年間の緩和政策を検証へ(2023-05-29:シニア)

住宅市場に変調の兆しはあるのか?(2023-05-08:シニア)

外国人転職制限を緩和、政府が技能実習は廃止し新制度検討(2023-04-24:シニア)

縮む日本、実態把握難しく―「農業集落調査」見直し議論が迷走(2023-03-27:シニア)

良い「談合」と悪い「談合」―東京五輪談合事件はなぜ起きたのか?(2023-03-20:シニア)

トヨタ自動車の新社長に佐藤恒治氏(2023-02-27:シニア)

K-POPのグローバル化とJ-POPのガラパゴス化(2023-02-13:シニア)

国立競技場民営化後も公費年10億円も(2023-01-30:シニア)

生涯子供なし日本突出―50歳女性の27%(2023-01-30:シニア)

東京一極集中と少子化問題―日本のサステナビリティを考える(2023-01-09:シニア)

<2022年>

広報パーソンの役割―スタートアップ企業のイベントに参加して(2022-11-21:シニア)

経済学は本当に科学なのか?―データサイエンスの未来(2022-10-17:シニア)

統計数字をどう読むか?(2022-09-12:シニア)

安倍元総理襲撃事件からリスク管理を考える(2022-07-18:シニア)

顔認証システムって、便利?(2022-06-13:シニア)

コロナ後の働き方改革とオフィス市場(2022-05-09:シニア)

 

 愛知県西尾市のPFI事業見直しに伴う工事中止命令で発生した増加費用約5900万円を、特定目的会社(SPC)「エリアプラン西尾」が市に支払いを求めた訴訟の判決が3月26日に名古屋地方裁判所で言い渡された。唐木浩之裁判長は市側に約3400万円の支払いを命じた。19年秋に裁判所が示した和解案と同じ内容となった。市側は先の和解案を受け入れずに争ってきたが、判決を受けて一段と難しい対応に迫られそうだ。

 愛知県西尾市は、PFI事業見直しで2019年4月にSPCとの契約変更を通知し、2工事を市で単独発注した。世論に訴えてSPC「エリアプラン西尾」側の抵抗を抑え込もうとしたが、2工事のうち一つは国家賠償請求訴訟に発展。もう一つも西尾市が申し立てた民事調停の足枷となる事態に陥っている。2つの工事の経緯を振り返るとともに、改めて西尾市に現状を突破する打開策があるのかを検証する。

 愛知県西尾市のPFI事業の見直しが始まって2年半―。2020年1月から民間事業者による国家賠償請求訴訟が始まるほか、2018年5月にスタートした特定目的会社(SPC)の損害賠償請求訴訟の判決は20年3月に言い渡される。19年4月からは西尾市の申し立てによる民事調停も始まったが、話し合いは暗礁に乗り上げている模様だ。これまでPFI事業見直しを主導的に進めてきた中村健市長の任期も20年7月で残り1年となる。次期選挙に向けて見直し成果をアピールしなければならない時期だが、事態は混迷を深め、泥沼の様相を呈している。

 愛知県西尾市のPFI事業を実施しているSPC(特定目的会社)のエリアプラン西尾(社長・岩崎智一氏)は、西尾市と中村健市長に対して、PFI事業見直しで発生した2017年度分の増加費用約6000万円の支払いを求め、名古屋地方裁判所に8月6日付けで提訴した。西尾市とSPCとのPFI事業見直し協議は継続中で、2018年度分の増加費用の支払いも含めて、今後の協議が一段と難航すると予想される。

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 西尾市が見直し方針を打ち出したPFI事業は、2014年3月に策定された「公共施設再配置実施計画2014→2018」に基づいて進められてきた。名古屋大学の恒川和久准教授は、公共FM(ファシリティーマネジメント:施設管理)の専門家として、数多くの地方自治体をサポート。西尾市でも公共施設再配置アドバイザーを務め、18年2月にはPFI事業見直し方針について市長に提言書を渡した。

愛知県西尾市は、総額198億円のPFI事業について、2018年3月5日に作成した「検証報告書・見直し方針」に基づき、受託企業であるSPC(特別目的会社)エリアプラン西尾(岩崎智一社長)との見直し協議を5月10日から開始した。

西尾市は、PFI対象32事業のうち10事業の取りやめ、3事業の計画変更を盛り込んだ見直し方針に基づいてSPCに契約変更を求めていく。SPCは、契約変更に伴う損害賠償の支払いや事業体制の再構築などの問題解決を要請する。

6月末までに市が具体的な見直し案を提示しない場合、SPCは契約を履行するために中断している工事を再開する方針だ。今後の協議は難航することが予想され、結果的に公共施設の整備計画が遅れ、市民生活に影響を及ぼすことが懸念される。

愛知県西尾市が進める総額198億円のPFI事業の見直し協議が暗礁に乗り上げている。今年6月の選挙でPFI事業見直しを掲げて当選した中村健市長が、公共施設の建設工事などを発注した特定目的会社(SPC)のエリアプラン西尾と8月から見直し協議を行っていたが、10月27日付けでSPC側の同意なしに工事の即時中止を通知。SPC側は困惑し切っている。

愛知県西尾市は昨年から、民間資金を活用し公共施設を整備する総額198億円のPFI事業を推進してきた。それが市長交代により、契約見直しの危機に陥っている。今年6月に行われた市長選挙で、PFI事業見直しを掲げた中村健氏(38)が、前職の榊原康正氏(77)を破って当選。8月にPFI事業の特定契約事業者であるエリアプラン西尾(社長・岩崎智一氏)に通知書を送りつけ、建設工事の中止を迫っているのだ。

ーー続きは「FACTA ONLINE」で。

 コラム「家づくりの経済学」(2003年5月〜2006年10月)をMKSアーカイブとして再掲載する。内容は原稿執筆当時のもので、住宅ローン金利も住宅金融公庫時代のものが使用されており、古いままの情報も多いので注意して読んでいただきたい。一方で10年経っても、ほとんど進展していない課題も少なくないことがわかるだろう。

(1)はじめに(2003-05-09)

(2)なぜ、家をつくるのですか?(2003-05-16)

(3)住宅すごろくの終わり(2003-05-17)

(4)家の二面性(2003-06-25)

(5)家の資産価値(2003-06-26)

(6)日本の住宅の平均寿命(2003-06-27)

<順次、更新中>

 明治5年(1872)に創業を開始した富岡製糸場(群馬県富岡市)が7月12日、世界遺産へ推薦されることが決定した。日本の近代化の礎を築いた産業遺産を世界遺産に登録しよう!と、群馬県が正式に活動を開始したのは2003年のこと。世界遺産候補として2007年に国内暫定リストに掲載され、他の候補に比べて推薦状づくりが進んでいることが評価されて今回の推薦が決まった。2014年の登録をめざす。 ――09年7月に群馬県庁世界遺産推進課の土屋真志さん(現在は農政部蚕糸園芸課)に世界遺産登録への取り組みをインタビューして雑誌に掲載しました。世界遺産に関係する部分を再編集し、“ものづくり立国・日本”のルーツが世界遺産に登録されることを期待して、MKSアーカイブとして掲載します。

はじめに

 1997年にゼネコン危機が始まる頃から、日本の建設業は、多くの構造的な問題を抱えていると言われてきました。しかし、それは建設業界に限ったことではなく、新聞などのメディア業界も同じです。私が在籍していたフジサンケイグループの日本工業新聞(現・フジサンケイビジネスアイ)もその当時(90年代後半)から様々な問題を抱え、抜本的な経営改革をしなければいけない状況でした。そのようなゴタゴタもあって、新聞社にいられなくなって、10年前に、仕方がないから「辞めます」と言って、フリーのジャーナリスト活動を始めたのです(笑)。

 日本でも、産業構造の大きな変革が始まった――そういう思いもあって、私の一番関心のあった建設業界にターゲットを絞って、産業構造の改革・変革が必要なのではないかという視点で、この10年間、取材活動を続けてきました。

 なぜ、産業構造の変革が起こり始めたのか?それには様々な要因があるとは思いますが、ちょうど10年前は「IT革命」という言葉が非常にはやっていた時期でした。最近ではIT革命なんてことをあまり言われなくなりましたが、この10年間、産業革命以来の変革をもたらすと言われていたIT革命がボディーブローのようにじわじわ、日本の経済・産業に影響を与え続けてきたと思います。

 今回の尖閣ビデオ流出事件(2010年11月4日)を見ても、あらゆる情報がオープンになりやすくなりました。それを透明性と言っていいのかどうなのか分かりませんが、企業も覚悟してビジネスを展開しなければいけない時代になった。もう談合をやろうと思っても、できないということですね(笑)。

 同時に、新興国でもインターネットを通じて、先進国の新しい技術情報を簡単に入手できるようになりました。リープフロッグ(leap frog)と言われますが、カエル跳び現象が非常に起こりやすくなりました。ちょうど10年前、日本と韓国はほぼ同時にe-Japan戦略とe- Korea戦略を始めたのですが、10年経ってみたら、日本が大きく遅れて、韓国が先に行ってしまったという状況が起きたわけです。

 MKSアーカイブに、2001年8月に執筆した建設業の構造改革に関するコラムを再掲載した。「週刊ダイヤモンド」6月5日号でも、専門工事業者の悲惨な状況が紹介されていたが、先日話を聞いた専門工事業の社長からも「手形を乱発するゼネコンなんて、もう必要ない!」との激しい怒りをぶつけられた。その時に、ふと10年前に執筆したコラムを思い出して読んでもらったら、「全く君の言う通りだ。しかも、10年前よりも状況はますます酷くなっている」と嘆いた。

 10年経っても、建設業は何も変わらず、事態はますます酷くなっている。まさに日本経済の地盤沈下を映し出しているかのようである。

・【建設】建設業が進めるべき産業構造改革に関する一考察―私見・ゼネコン再編論から(2001-08-10)

 2002年5月〜2003年5月まで建設業向け情報サイトに連載したコラム「新・建設産業再生プログラム(全43回)」のうち、「透明性の確保」について考察した8回分を再録しました。

(1)自己責任に基づく契約関係を築く(2002-11-15)
(2)情報の透明性を確保する(2002-11-23)
(3)出来高払い方式が普及しない理由(2002-12-17)
(4)出来高払い方式に取り組む先駆者たち(2003-01-27)
(5)ヒト情報の透明性(2003-02-13)
(6)丸投げ禁止から見えるヒト情報の不足(2003-02-24)
(7)技術・技能を客観的に評価する基準(2003-03-12)
(8)住基カードを活用したヒト情報の管理(2003-03-17)

 2001年6月〜2002年3月まで建設業向け情報サイトで連載した「私見・ゼネコン再編論(全37回)」のうちゼネコン再編のあり方を考察した5回分を再録しました。
(1)再編パターンも多様化へ(2001-08-28)
(3)機能再編の基盤づくり(2001-09-11)

  建設業は、市場規模だけをみれば、いまだに50兆円近い巨大産業だ。しかし、建設業界で働く500万人以上の人たちは希望と誇りを持って働いているだろうか。明るい未来を信じて建設業に就職する若い人たちはどれぐらいいるだろうか。建築界に明日はあるか?―そう問われて真っ先に思うのはそのことだ。

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