【MKS】西尾市PFI事業のSPC、追加費用請求で名古屋地裁に市側を提訴(2018-08-10:インフラビジネスJapan)

 愛知県西尾市のPFI事業を実施しているSPC(特定目的会社)のエリアプラン西尾(社長・岩崎智一氏)は、西尾市と中村健市長に対して、PFI事業見直しで発生した2017年度分の増加費用約6000万円の支払いを求め、名古屋地方裁判所に8月6日付けで提訴した。西尾市とSPCとのPFI事業見直し協議は継続中で、2018年度分の増加費用の支払いも含めて、今後の協議が一段と難航すると予想される。

2017年度分約6000万円が未払いに

 訴状によると、同PFI事業は2016年6月に「新たな官民連携手法(西尾市方式)による公共施設再配置第1次プロジェクト」として総額約214億円(税込額、税抜きでは約198億円)で契約した。具体的には、新築5、改修12、解体14の施設整備事業と、30年間の施設運営管理事業を行う内容だ。

 その後、2017年7月に西尾市方式のPFI事業見直しを掲げて当選した中村健市長が就任。17年10月には西尾市がSPCに対して一部を除いて工事の一時中止を通知した。

 SPCでは、契約が継続したまま工事を中止した場合、契約に基づいた工事体制を維持しなければならず、それに伴って発生する増加費用の負担について西尾市に確認。訴状では、「西尾市が契約に基づいて工事の一時中止に伴う増加費用を負担し、17年度中(18年3月末)に必要な措置を講じるとあった」しており、SPCでは工事の一時中止に対応してきた。

 西尾市では、18年3月にPFI事業について「検証報告書・見直し方針」を公表。5月からSPCとの見直し協議を開始し、現在も継続中だ。同時に、SPCでは工事の一時中止に伴う増加費用の支払いを西尾市に求めてきたが、これまでに全く支払われていないという。

 SPCが請求している増加費用は、工事の一時中止の申し入れで発生した資料作成や工事業者との協議など各種調整業務を委託した費用、矢作地所、西尾開発で発生した工事の増加費用、PFI事業の見直し協議などに対応するために発生した弁護士報酬費用の合計。これまでにも見積書や請求書などの資料は西尾市に提出していたが、認められなかった。

西尾市、未払いの責任はSPC側

 中村市長が8月7日に出したコメントによると「人件費を含め、契約書に基づき払うべきものは払うという一貫した立場で協議を行ってきた」としている。しかし、市側が「請求内容に対する法的根拠を明らかにすることを求めてきたが、SPCは工事中止後に支払ったものは全て増加費用となるとの一貫した主張で協議が進まず、膠着状態になっていた」として、増加費用未払いの責任はSPC側にあるとの立場だ。

 市民サービスの向上を目的にスタートした西尾市の公共施設再配置プロジェクトは、PFI方式の見直しや契約の解釈といった問題によって事業がストップ。市民サービスを置き去りにした見直し協議は泥沼化の様相を見せ始めている。