【建設】私見・ゼネコン再編論―業界再編のあり方を考える(2)(2001-08-29)

 建設業で、企業同士の合併など「企業の再編」が難しいというのであれば、まず建設業者の「機能の再編」から始めるというのはどうだろう。リストラを企業内から業界へと広げるのだ。
※初出表題「私見・ゼネコン再編論(18)―想定される再編パターン(2)」

過去の再編事例を4パターンに分類

 建設業界における合併や業務提携などの再編事例を改めて検証してみる。大きく分けて、次の4パターンに分類してみた。

(1)地域補完型=大阪地盤の南海建設と東京地盤の辰村組が合併した南海辰村建設が代表例。
また、工務店の営業区域をきちんと区割りして全国展開している朝日新聞支援の「匠の会」も、ここに分類できるだろう。

(2)事業補完型=陸上土木の日東建設が、会社更生法を申請した海上土木が得意の大都工業と合併して、日東大都工業に。鹿島が、高級住宅を得意とする店頭公開企業の佐藤秀に資本参加したケースは、クライアントの高級住宅ニーズに対応するためと言われている。

(3)機能補完型=研究開発分野を中心とした業務提携は、これに当たると考えられる。先駆けは、前田建設工業、錢高組、日本国土開発の3社による技術提携。建築の戸田建設と土木の西松建設の業務提携、鹿島、大成建設、清水建設の研究開発提携、さらには中堅ゼネコンで組織する日本建設業経営協会(日建経)が設立した技術研究所などの事例がある。

(4)規模拡大型=会社更生法を申請した多田建設を支援する四国の大旺建設、コマツ系の小松建設工業を買収した高松建設、三井不動産系の三井不動産建設を買収した日東大都工業など。いずれも売上高1000億円以下の中堅ゼネコンが、自分より売り上げ規模の大きなゼネコンを飲み込んだ事例だ。系列ゼネコンの買収する場合は、買収先の親会社からの受注獲得も期待できる。

 このほかに、最近、清水建設など大手ゼネコンを中心に活発化している異業種との合弁事業も、社内に蓄積されたノウハウなどの「機能」を、異業種などの持つ「機能」と融合化して事業化しようとする試みだと言える。

企業の再編ではなく機能の再編をめざすべき

 分類してみて改めて感じるのは、やはり地域や事業を含めて「機能」的に補完関係となるケースか、一気に企業規模が2倍以上になるといった劇的なスケールメリットが期待できるケースか、そのいずれかに限られしまっているという点だ。確かに、よほどのメリットがなければ、ある程度のリスクも想定される「再編」に積極的に取り組む意欲は出てこないかもしれない。建設市場が縮小傾向にあって「再編」後も明るい展望を描きにくい状況ではなおさらだ。そうだからと言って、何もしなければ、際限ない生き残り競争が続くことになる。

 建設業においては、企業同士の合併など「企業の再編」が難しいというのであれば、まず建設業者の「機能の再編」から始めるというのはどうだろう。企業内のリストラクチャリング(再構築)を、少しずつ業界全体へと広げて試みてみるというわけである。例えば、ある地域内で複数の建設会社が調達部門だけを切り離して別会社化し、既存の資材業者も飲み込んで共同調達事業を開始するといったケースである。

 CLAS/ECが本格導入されれば、設計部門を切り離して、共同CADセンターを設立するといったことも考えられる、これはもう、立派な再編と言えるだろう。大手ゼネコンの場合、企業同士の合併には二の足を踏むが、海外事業部門だけを引き取るというように、部分的なであれば負担はグッと低くなり、実現する可能性も高まるのではないか。ゼネコンも、余分な「機能」をどんどん殺ぎ落としていけば、最後には欧米的なCM会社という企業形態に自然に転換していくことになるかもしれない。

 重要なのは「いかに特徴のある建設会社になるか」という考え方である。共用できる「機能」をどんどん切り離していった時に、最後に何で勝負するか。最後に何も残らないのでは、厳しい建設市場で生き残っていくことは難しいだろう。

つづく