【建設】私見・ゼネコン再編論―業界再編のあり方を考える(1)(2001-08-28)

 「再編」というと、すぐに「合併」と短絡的に結びつけられるが、再編にもいろんなパターンがある。経営効率を高め収益を拡大するという視点から、柔軟な思考で再編を考えるべきだ。
※初出表題「私見・ゼネコン再編論(17)―想定される再編パターン(1)」

銀行再編で用いられた分割統合の手法

 企業の再編パターンは、もちろん合併だけでない。企業再編を私自身、学問的に整理しているわけではないが、経済記者の経験を通じて思い付くだけでもいろいろなパターンに立ち会ってきた。とくに印象深かった事例が、バブル崩壊直後に、中小金融機関などを対象に適用された企業を分割して統合する手法だ。

 金融機関も普通銀行という看板を掲げている限り、都市銀行も地方銀行も機能的には同じである。大手の銀行が中小銀行を統合するメリットは、ゼネコンと同様にほとんどない。

 バブル崩壊後、地方の中小金融機関の経営破たんが相次いだときに、大蔵省主導で、大手金融機関による救済合併がいくつか行われたが、いくら中小であっても経営不振に陥っている金融機関の救済は大手でも負担が大きい。その時に対象企業を3〜4分割してから大手金融機関が引き取るという手法が用いられた。まさに“談合”の世界ではあるが、「なるほど!こんなやり方もあるんだ」と、妙に感心したことを覚えている。

多種多様な再編パターンを数式で表すと…

 多少、「頭の体操」(いまや国会議員の先生になられた大橋巨泉氏が司会したテレビ番組でそんなタイトルがあった?)で退屈な話かもしれないが、簡単に再編パターンをまとめてみると、次のようになるだろう。

 まず、再編を“完全統合”と“部分統合”の二種類に大きく分ける。完全統合は(A社+B社)、(C社+D社)というパターンで、代表例は「合併」だが、「完全子会社化」や、「持ち株会社による経営統合」なども(A+B)のパターンに分類できるだろう。また、中小企業による事業協同組合などの手法も(A+B+C…)という数式が成り立つなら、一種の緩やかな経営統合と言えるのではないだろうか。

 これに対して、部分統合は、企業を複数の「機能」の集合体と考えれば、様々な選択肢や組み合わせが考えられる。A社=(a1+a2+a3…)、B社=(b1+b2+b3…)、C社=(c1+c2+c3…)とした場合、「営業譲渡」はシンプルに(A社+b1)という式で表すことができる。

 最初に示した金融機関の「分割&統合」の事例は、(A社+c1)、(B社+c2)、(D社+c3)で表せる。また、最近、総合商社などで活発に用いられている「事業統合」は(a1+b1)、(b2+c2)といった式となる。さらに、数式遊びを続ければ、(A+B+C…)÷n(nはなるべく1に近い整数)や、(a1+b1+c1…)÷nという形も考えられる。

柔軟な思考で業界再編を考えるべき

 確かにメディア側も、「再編」というと、すぐに「合併」と、短絡的に結びつけるのも問題ではある。ゼネコン経営者も、売り言葉に買い言葉で、「ゼネコンが合併するメリットはない」と言い切って、再編そのものを端から否定してしまう。要は再編のパターンは一通りではなく、いろいろな手法があり、その気になれば、新しいパターンを生み出すこともできる。

 ゼネコンが研究開発など分野を限定して行っている業務提携も、数式では(a1+b1+c1)と表すことができるだろうし、ここ数年、急速に進んできているアウトソーシング(外部委託)も、「機能」を社外から買ってくるという部分だけに着目すれば、(A社+b1)と表して良いかもしれない。

 柔軟な思考で、経営効率を高めて収益を拡大するためには、どうすれば良いかを考えていけば、自ずといろいろな選択肢が出てくるのではないか。

つづく