【建設】私見・ゼネコン再編論―業界再編のあり方を考える(4)(2001-09-12)

 建設業者の淘汰をビジネスチャンスにする―。先行き不安な経営者に客観的なアドバイスと、企業の幕引きを支援することは、社会的な意義もある重要な機能ではないだろうか。
※初出表題「私見・ゼネコン再編論(20)―「機能再編」の基盤作り(2)」

再編・淘汰をソフトランディング処理するには?

 「建設業者の淘汰をビジネスチャンスにできないか?」―他人の不幸をチャンスにするなど、何をふざけたことを言っている、とは思わないでいただきたい。

 60万社近い建設業者―。建設需要の縮小に伴って、否応なしに淘汰は避けられない状況だ。現在も毎月、500社以上の建設業者が倒産に追い込まれているが、このままではさらに倒産件数が増える可能性が高い。倒産というハードランディングに追い込まれる前に、廃業や清算という形でソフトランディングする。それが可能なら、その方が良いのではないか。

 また、建設業者に余力がある場合、建設業から他の業種への業種転換を支援する必要があるのではないだろうか。その場合、政府や地方自治体も雇用対策を中心にバックアップする必要があるだろうが、公共工事頼みの業界体質を改革する観点からも、できるだけ民間主導で進められるのなら、その方が良い。

「自分ではなかなか決断がつかない企業の“幕引き”を手伝い、建設業の構造改善を推進するという社会的な意義のある立派なビジネスになる」―そう考えたわけである。

中小業者が幕引きを決断する条件とは?

 公共事業費が削られ、受注競争が一段と激しくなり、電子入札が普及して談合も通用しずらい業界になれば、廃業しても良いと思う建設業者は、少なくないだろう。もちろん年商100億円以上あるような建設業者だと、簡単に会社を清算するというわけにはいかないだろうが、条件さえ整えば会社売却を考えるオーナー経営者も出てくるのではないだろうか。

 中小建設業者の場合、どんな条件が整えば、企業の幕引きを決断するだろうか?ポイントはやはり「後継者」と「借金&不良債権」の2つだろう。

 中小業者の場合、圧倒的にオーナー経営者が多いと考えられるが、跡継ぎがおらず、かつ、廃業しても借金が残らずにその後の生活の不安も小さい―この2つの条件が満足されれば、無理に経営を続けなければならない理由も小さくなると考えられる。

 逆に、バブル時期などに、大企業に就職して安定した生活を送っていた息子を無理やり跡継ぎに据えてしまい、バブル景気に煽られて思い切って設備投資した借金が残っている―そんなオーナー経営者は、廃業したくても、とてもできないと考えているだろう。

 ただ、中小建設業者の場合、いまだにドンブリ勘定で経営を行っている会社も少なくない。経営者自身、いまは廃業できないと思っていても、専門家が入って保有資産をきちんと評価し、売れるものも売って、借金を整理してみたら、許容範囲に収まるかもしれない。そうなれば、経営者も廃業や売却を選択肢の一つとして客観的に検討しやすくなる。何も建設業にしがみつく必要はなくなり、将来性のある新規事業を始めるのだって良いわけである。

民間主導で再編を促進させる機関を

 もっと規模の大きいゼネコンでも同様だ。確かにゼネコンの場合は不良債権処理が進まなければ問題は解決しないかもしれないが、本来は雇用を含めて事業の再構築をどう図るかの方が重要なはずである。“危ないゼネコン”と言われてやる気を失いながらも、生活のためにしがみつかざるを得ない状況を続けるより、見込みのある部門なら、さっさと勝ち組ゼネコンや規模は小さくても地方の優良ゼネコンなどに売却してもらった方が、働いている人もすっきりするように思うのだ。

 ゼネコンを会社丸ごとで売却できないのであれば、「機能」ごとに解体し、売れるものは売って早い時期に再出発させ、残りの部分を何とか処理するという手順を考える以外に方法はない。それを手助けする民間機関があることが望まれる。

 大手ゼネコンの人には、冗談半分にお勧めしている。「弁護士、会計士、さらに金融機関を含めた専門チームを編成して、建設業者の“解体ビジネス”をできるのは大手ゼネコンしかいない。それを通じて、今後も大手ゼネコンに都合の良い業界構造を構築すれば、いいじゃないですか?」と。

つづく