週刊東洋経済の1月19日号(1月15日発売)に特集「ゼネコン現場破壊」が掲載された。いかに建設現場が悲惨な状況にあるかを示すとともに、CM(コンストラクションマネージメント)や大和ハウス工業、長谷工コーポレーションなどの事例と対比することで、ゼネコンの一括請負という”ビジネスモデル”が時代遅れになっていることを描いた。果たして建設業はいつまで「ゼネコン」という儲からない”ビジネスモデル”にしがみついているのだろうか?

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

 2008年も1週間が過ぎ、間の抜けた新年の挨拶に、仕事もせずに遊んでいたと思っている人も多いかもしれませんね。1か月以上も記事更新をせずにいましたが、来週発売の「週刊東洋経済」に掲載される予定のゼネコン特集の取材・執筆に関わっていたためでした。読者の厳しい目に応えられる記事に仕上がったかどうかは、ぜひお読みいただいて、感想や批評をお寄せいただければと思います。また取材に対応していただいたのに、紙面の都合などで記事に反映できなかった企業も少なくありませんでした。お詫び申し上げるとともに、またの機会に登場いただけるよう、今年も建設・不動産業界の動きを精力的に取材していきますので、引き続きご支援願います。

 新たな耐震偽装事件が発覚した。改正建築基準法に対して高まってきた批判を打ち消すようにである。しかし、偽装を発見したのは建築主の積水ハウス。国土交通省指定の確認検査機関は見逃しても、建築主がきちんと対応すれば偽装は発見できることが証明された。改正建築基準法で国交省指定のピアチェック機関での二重チェックを義務付けなければならない根拠はどこにあるのか?

 改正建設基準法が施行されて約4カ月―。混乱が続く建築現場のなかで「良い影響が出てきた」という話を民間の建築確認検査機関から聞いた。法改正の影響が軽微だった戸建住宅の工事現場が「非常にキレイになって検査が行いやすくなった」というのだ。これによって工事検査の質が向上すれば、中間検査、完了検査に合格したあとに発行される検査済証の信頼性もアップするはず。消費者にとって重要なのは、完了検査済証が建物の安全・安心を担保できるかどうかである。

 「ニュースを聞いたとき一瞬、凍りついた。日本の建設技術に何か異変が起きているのではないかと感じた」―日本の政府開発援助(ODA)によってベトナム・メコン川で大成建設、鹿島建設、新日鉄エンジニアリングの3社が建設を進めていたカントー橋が9月27日に崩落した後に、あるゼネコン幹部がそんな感想を漏らした。まだ事故の原因は判っていないが、私も全く同じことを感じていた。2003年8月の新潟県・朱鷺メッセの連絡橋崩落事故、04年4月に西松建設が建設中だったシンガポール地下鉄トンネル崩壊事故、05年11月の耐震強度偽装事件ときて今回である。不良債権処理、談合問題ばかりに目を奪われているうちに、日本の建設技術そのものが劣化し始めているのではないか?
 改正建築基準法が6月20日に施行された影響が出始める建築着工統計7月分の数値が公表された。新設住宅着工戸数は前年同期比23.4減の8万1714戸。6月20日前に大量の駆け込み申請があり、7月に入って建築許可が順次下りたことから、2割程度の落ち込みに止まったが、8月、9月は目を覆うような数値になるのは間違いない。国土交通省の発表文では「その影響は一時的なものと考えている」とコメントし、新聞などメディアの扱いも小さいままだ。「あれだけ大きな改正をやれば、3か月程度、混乱するのは仕方がない」と国交省幹部も言うのだが…。
MKSアーカイブとしてカテゴリー「住宅」内にコラム『耐震強度偽装問題を考える』(2005.12〜2006.02)9本を再録しました。ぜひ、お読みください。
 東証一部に上場していた中堅ゼネコン「東海興業」が1997年7月4日に会社更生法を申請して、ちょうど10年目を迎えた。東海興業のメーンバンクだった北海道拓殖銀行、そして山一證券が11月に経営破たんして、金融機関の不良債権処理が本格化。ゼネコン業界にも再編淘汰の嵐が吹き荒れ、この10年に上場ゼネコンを対象に実施された債権放棄、金融支援などの総額は8兆円近くに達する。それだけのカネを費やして建設業の構造改革はどこまで進んだのか?
上場ゼネコンの不良債権問題への対応(表)を掲載しました。

姉歯秀次・元建築士やヒューザーなどが引き起こした耐震強度偽装事件が発覚してから1年半前。建物の安全性確保を目的に大幅に強化された建築基準法が2007年6月20日に施行となった。建築着工前に設計図面などをチェックする建築確認に、新たに構造計算適合性判定制度を導入するなど、建築確認や工事検査を厳格に運用する。

 消費者にとって、建物の安全性が確保されるのは歓迎すべきことだ。しかし、規制を強化された建築業界は大混乱。建築価格の上昇や建築の自由度の制限など、思わぬ“副作用”を消費者も覚悟する必要がありそうだ。

 和歌山県トンネル工事、名古屋市営地下鉄工事、大阪府枚方市清掃工場工事など数々の談合事件への関わりが発覚した大林組が4日、大林剛郎会長兼CEO(最高経営責任者)の取締役への降格と、脇村典夫社長の引責辞任を発表した。後任の代表取締役社長には、白石達専務執行役員が就任する。「危機的状況を打開するため人心を一新する」(大林会長)との状況にありながらも、「求心力が必要」(脇村社長)と創業家の大林会長が取締役に留任する理由は何か?
 清水建設が10日に行った社長交代会見に出席した。4期8年(正確には8年3か月)在任した野村哲也社長から、宮本洋一専務に6月の株主総会後にバトンタッチする。会見で野村社長は「完全に不良債権処理を終えることができた」と在任期間を振り返ったが、それを引き継いで宮本新社長はどのような舵取りを行うのか。バブル期から90年代前半までゼネコン首位だった清水建設が攻勢に転じることはないのか。
 国土交通省が昨年6月に立ち上げた建設産業政策研究会の会合が4月23日に開かれた。今回は生産性とITがテーマだと聞いていたが、何ともお座成りな議論で拍子抜けする内容だった。その一方で「現場作業員の給与水準を上げなければ優秀な人材を確保できない」と危機感を募らせる声が相次いだ。建設産業全体の生産性を上げずに、どうやって建設就業者の給与水準を上げていこうというのか?ダンピング受注の減少など建設費が上昇に転じたことに安心したのか、すっかり危機感も薄らいでしまったようで…。
建設業界は、企業再編とは全く無縁な業界だった。大手ゼネコンと言っても、工事現場の集合体に過ぎず、個人工務店の延長線上にある程度の会社ばかりと言うのなら、それも致し方ない。しかし、昔ながらの地縁・血縁に頼った「御用聞き営業」で大手が生き残るのは困難であり、より戦略的な経営が求められる時代となっている。ゼネコン再編がいよいよ間近に迫ってきているのではないだろうか。
業界再編は、どのようにして起こるのか―。イメージ的には「地震」発生のメカニズムを考えれば良いのかもしれない。業界全体に様々な要因によって「再編エネルギー」が蓄積され、いよいよ限界になったときに、誰か(何か)が引き金を引くことで、一気にエネルギーが放出され、地殻変動が業界全体へと波及していく。建設業界の「再編第二幕」を考える上で、まずは自動車産業と金融業の業界再編の流れを検証する。
「ゼネコンが合併してもメリットがない」―散々、そう言い続けてきたゼネコン業界でも、さすがに業界再編に否定的な声は少なくなってきた。97年に始まった不良債権問題をきっかけとしたゼネコン危機では、金融機関主導での再編・淘汰が進められてきた。それもほぼ一段落した感はあるが、これでゼネコン再編が終わったとは誰も考えてはいないだろう。果たしてゼネコン再編・淘汰の第二幕は、いつ、誰が(何が)引き金を引くことになるのだろうか?
 大成建設が25日に社長交代を発表、翌26日に業界紙・雑誌向けの記者会見が行われた。4月1日付けで、葉山莞児社長が代表取締役会長に就任し、新社長には建築出身の山内隆司専務が昇格する。これまでの平島治会長―葉山社長体制は、強いリーダーシップを発揮する葉山氏を平島氏がサポートする形で役割分担が上手く機能してきたが、果たして葉山―山内体制はどうか?
 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 昨年末に退院したばかりで、まだまだ本調子とは言えない状況ですが、穏やかな気候に恵まれた正月3日間は、自宅付近を散歩しながら体力回復に努めました。そのときに、さいたま市内にある大規模な市街化調整区域「見沼田んぼ」から、「さいたま新都心」の超高層ビルを撮影。この一角に国土交通省の関東地方整備局も入居しているのですが、正月早々、朝日新聞社会部が過去の大型公共事業のスキャンダル発掘に熱心に取り組んでいるようで…。
 「大手ゼネコン、赤字受注乱戦…大手町再開発の不安」という見出しの記事(http://www.zakzak.co.jp/top/2006_12/t2006120827.html)が、8日付けの夕刊フジに掲載された(らしい…)。大手ゼネコンの広報マンから、その日の夕方に電話があって知った。「夕刊フジの記事、千葉さんでしょ。随分、過激な見出しですよねえ…」。思わず「えっ、何のこと?」と、トボケた振りをしてしまうのには、いろいろと理由があるのだ。
 小泉政権の5年間で公共工事の量は激減した。安倍政権もこの方針を継続する。十分な供給がなければ談合は成立しない。日本中に張り巡らされてきた談合システムが崩壊するのは、もはや時間の問題だろう。
○旧表題「談合システムは直に崩壊する、次は発注者の淘汰を考えよ」

 東京都港区の前区長、原田敬美氏を中心に設立されたNPO法人「地域と行政を支える技術フォーラム」が、公共調達における事前監査の重要性を訴える啓蒙活動に取り組んでいる。官製談合の防止や予算の適切な執行を確保する観点から、従来の事後監査から今後は事前監査に重点を移すべきとの主張だ。同法人では、11月25日の10時から東京都港区の生涯学習センター(ばるーん)で公共調達における監査のあり方を考えるシンポジウム

を開催する。
 国土交通省が主催した平成18年度の国土技術研究会で東京工業大学大学院の藤井聡教授が行った特別講演「公共事業逆風世論の真実」を聞いてきた。全国の地方整備局から技術官僚たちが集まって開催される研究会の場で、どんな話がされるのか興味があったからだ。「不条理な大衆の世論に卑屈になることなく、毅然と(公共事業の)
大儀
を語れ!」という藤井教授の話に、盛んな拍手が送られていたが、これって来春の参議院選挙モードってこと?

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