明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

 2008年も1週間が過ぎ、間の抜けた新年の挨拶に、仕事もせずに遊んでいたと思っている人も多いかもしれませんね。1か月以上も記事更新をせずにいましたが、来週発売の「週刊東洋経済」に掲載される予定のゼネコン特集の取材・執筆に関わっていたためでした。読者の厳しい目に応えられる記事に仕上がったかどうかは、ぜひお読みいただいて、感想や批評をお寄せいただければと思います。また取材に対応していただいたのに、紙面の都合などで記事に反映できなかった企業も少なくありませんでした。お詫び申し上げるとともに、またの機会に登場いただけるよう、今年も建設・不動産業界の動きを精力的に取材していきますので、引き続きご支援願います。

週刊東洋経済から初めて記事執筆依頼が舞い込む

 毎度のことながら、出版社などから記事の依頼があると、その間、ブログへの記事掲載がどうしてもストップしてしまう。最初から雑誌で書く部分とブログで書く部分を切り分けることができれば良いのだが、全部使うつもりを取材を進めているので、最後に記事を仕上げるまでは他にはなかなか書けないものである。
 週刊東洋経済が1年半振りにゼネコン特集を組むことになり、協力依頼があったのが昨年の9月のこと。記事掲載は12月の第1週か第2週の予定で、東洋経済の担当記者が、特集企画のコンテを書き、それに沿った形で不足している部分を私が味付けしていくという編集方針で準備を進めていくことになった。
 特集記事のメーンとなるゼネコンの経営問題については東洋経済の記者が執筆。私自身は一般紙や大手経済雑誌があまり取り上げていない建設業周辺の新しい動きを記事にまとめるぐらいで良いのだと理解して、のんびりと構えていた。

週刊ダイヤモンドからも取材依頼―思わずうろたえる

 ところが、10月の下旬になって週刊ダイヤモンドの編集者からも突然、私に連絡があり、「ゼネコン特集をやるので、一度、話を聞きたい」との依頼があった。フリーの立場では、東洋経済の件を漏らすこともできず、理由を説明せずに面談を断るわけにもいかず、本当に困った。「会って話を聞きたい」との依頼であるなら、相手の質問に対して中立的な立場で意見を述べることにして、とにかく会って話をした。この時点ではダイヤモンドがゼネコン特集を組むのは年明けの1月を予定していると聞いた。私としては、どちらのスケジュールも聞かなかったことにして、だんまりを決め込むしかなかった。  11月に入ると、予定通りに東洋経済の記事執筆のための取材を一気に進めた。経済雑誌のゼネコン特集は、97年のゼネコン危機以来、建設業の「ダメ振り」ばかりを強調してきた。談合問題や姉歯事件など建設業の「ダメ振り」を示すネタはいくらでもあったのは事実だが、そんな建設業界の中でもビジネスモデルを変革して受注高や利益を伸ばしている企業もある。そんな企業を取り上げることで、建設業を元気付けることも必要だと考えてきた。

ダイヤモンドが先回り?―正攻法でよくまとまった内容に驚き

 11月下旬になって記事執筆に取り掛かろうとしたとき、東洋経済から急きょストップがかかった。何と、ダイヤモンドが11月最終週の号で、ゼネコン特集を掲載するというのである。思わず「ウソ!」と言ってしまったが、ダイヤモンドは東洋経済以上にゼネコン問題を頻繁に取り上げてきており、2007年も3月に一度大特集を組んで話題となっていた。私も良く知っている業界に詳しい編集者・記者も揃っており、その蓄積があれば掲載を前倒しすることも可能だっただろう(ひょっとすると東洋経済を油断させていた?)。  半信半疑で様子を見ていると、書店に「ゼネコン断末魔」と書かれた週刊ダイヤモンドが並んでいる。私にも取材協力のお礼として1冊送られてきたが、中身を見て驚いた。さすがに手馴れた作りで、よくまとまっている。私自身も「2006年1月の改正独禁法施行と07年6月の改正建築基準法の施行が建設業界の構造変革を一気に加速させる」と、このブログでも書いてきたし、ダイヤモンドの編集者にもそう話をした。「ゼネコン断末魔」も、前回取り上げた独禁法改正の衝撃に加えて、それ以降に表面化した建築基準法改正の影響や、みらい建設グループの民事再生申請、新東京タワーなどの受注合戦、さらに地方ゼネコンの問題では北海道を取り上げるなど、まさに「正攻法」の作り方である。

掲載予定を1か月先延ばし―急きょ企画コンテを見直すことに

 困ったのは東洋経済だ。企画コンテとして東洋経済でも、ダイヤモンドと同様に「正攻法」のものを用意していたからである。確かに取材先が国土交通省やゼネコン大手、中堅など同じであれば、企画内容が似てくるのも仕方がない。さらに話題となっている大型物件も限られている。どうしても似通った企画コンテになるのも仕方がないところだ。しかし、このまま予定通りに特集を制作して掲載するのでは明らかに二番煎じになってしまう。急きょ、記事掲載を1か月伸ばして、企画内容を見直すことになった。  そうは言っても、ダイヤモンドの特集と差別化するのは簡単ではない。しかも、作り直すにも1か月では期間が短すぎる。そこで、特集の後ろの方でチョコチョコと書くつもりで取材していた私の記事を全面的に見直してカバーストーリー(ここは当然、東洋経済の記者が書く)の次に持ってくるという話になった。これまで私が個人的に注目してきた企業が「メジャーな経済雑誌で取り上げてもらえたら…」と思って取材していたのだが、メーンのストーリー記事として仕上げなくてはならなくなり、単なる企業紹介記事では済まなくなってしまった。中心的に取り上げる企業も東洋経済から指示され、「あまり分散しないように…」とのリクエストもあった。泣く泣く、記事から落とさざるを得ない企業も多かった。

全体の仕上がりはどうか―ぜひご期待を!

 そんな経緯で、週刊東洋経済のゼネコン特集は、ダイヤモンドの正攻法の企画特集とはかなり異なった内容になっているはずである。私が執筆を担当したのは8ページ程度で、カバーストーリーを含めてその他の記事は、東洋経済の記者が執筆しており、最終的にどのようなテイストで全体を仕上げるのかは東洋経済の腕の見せ所。一緒に仕事をした記者も編集者も優秀な人たちだったので、大いに期待している。
 私も、今回は一般読者向けに、できるだけ判りやすく書くことを心がけた。業界関係者に話をするときには、説明しなくても済むことも、しっかり説明する必要があったし、記事のストーリーも単純化し、表現もストレートにしたので、気を悪くする業界関係者もいるかもしれない。その点は、ご理解いただきたい。
 蛇足だが、記事の一部分に実名は出さなかったが、大学の研究室の後輩の話を紛れ込ませた。当人の了解は取らずに乗せてしまったが、4月の研究室OBゴルフコンペで一緒になるだろうから、昼飯でもご馳走して事後承諾ということにしたい。

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