土地を「資産」と考えるか、「資源」と考えるかで、その見方は大きく違ってくる。資産である土地をどう利用しようが、誰にどう処分しようが所有者の勝手かもしれないが、限られた国土資源と考えれば公共性が求められる。今年7月に固定価格買取制度がスタートする再生可能エネルギーを普及できるかどうかも、突き詰めれば「土地問題」である。エネルギー資源として土地をどう有効活用できるかで、電力コストが大きく違ってくるからだ。3年前に表面化した水源林の外国資本参入問題でも、土地制度の不備が指摘された。日本の貿易収支が31年振りに赤字に転落した今、土地制度を「資産=金融商品」という側面ばかりで考えるのではなく、「資源」として議論する必要があるのではないか。

 日本の住宅市場の将来像について考えるシンポジウム「ハ会」を開催した不動産・建築業界の有志メンバーが約1年ぶりに集まってサロン「ここが変だよニッポンのリフォーム・リノベ」を11月4日に渋谷で開催した。お酒も入って仲間内のフランクな集まりとの印象もあったが、ハ会シンポジウムでの自らの発言に対してメンバー各自がその後どのような活動を行ったのかを検証。今後の抱負についても語る有意義なイベントだった。世の中、総理の所信表明にしても、新聞の社説にしても、ただ「言いっぱなし」で検証が行われていない状況を考えると、自らの発言に責任を持とうとする姿勢に大いに感心させられた。今後の活動にも期待したい。

 エコカー補助金&減税の導入(2009年4月)を機に「エコ○○」という言葉が定着し、住宅市場でも「エコ住宅」「エコマンション」という言葉を良く聞くようになった。三菱地所でも来年1月に販売開始する新コンセプトの環境配慮住宅「パークハウス吉祥寺OIKOS(オイコス)」をエコマンションと言っているが、何を基準にエコマンションなのかが判りにくい。国土交通省にもエコマンションの要件を確認したが、「はっきりした定義があるわけではない」との答え。住宅エコポイント制度の対象となる省エネ法のトップランナー基準を満たしている物件と思っている人もいるだろうし、エネルギー消費量やCO2排出量の削減率で考える人もいるだろう。エコマンションの定義や基準を明確にしていくことで、消費者が選びやすい環境を整えていく必要があるのではないだろうか。

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 東京・日本橋地区のランドマーク、日本橋三井タワーが完成して5年が経過し、中央通りを挟んだ向かいに三井不動産が開発した「室町東三井ビルディング」、野村不動産の「日本橋室町野村ビル」の超高層ビル2棟が完成した。両社は10月25日にそれぞれ記者会見と内覧会を開催、両ビルの商業ゾーンは28日に同時オープンする。しばらく日本橋地区では目玉プロジェクトの完成がなかっただけに、三井不動産の岩沙弘道社長も記者会見に出席し、「地元の人や企業が自ら積極的に動いて日本橋を良くしていくことで、高速道路の移設に対するコンセンサスも得られると信じている」と、日本橋再生計画にかける思いを語った。

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 ハ会主催の第2回シンポジウム「新築バンザイ!?」が7月27日に開催された。人口減少が進むなかで、相変わらず新築住宅が大量供給され続ける現状に対して「新築総量規制」と「タワーマンション建設禁止」の視点からパネルディスカッションを行った。なかでも新築の過剰供給問題の本質を、さくら事務所代表の長嶋修氏は「業界団体」にあるとズバリと言い当てていた。前日の26日に開催された社会資本整備審議会住宅宅地分科会で、住宅生産団体連合会副会長の矢野龍・住友林業会長のピント外れ(?)なプレゼンを聞いた後だっただけに、長嶋氏の指摘に強く共感した。ただ、経済・産業政策の専門家が少ないので、具体的な政策アイデアまで落とし込めていないのが残念。自分も建築学科出身だが、建築系のパネラーが多いと仕方がないのかあ…。

 「不動産仲介の両手取引禁止」の必要性について記事やブログで書き始めて1年が経過したが、不動産市場の不透明性と既得権益からの強い抵抗を改めて実感させられている。6月22日には、破壊(はかい)に引っ掛けたと思われる「ハ会」という業界有志によるシンポジウム「VIVA!中古〜ストック型社会を阻害する既得権益の撤廃」が開催されたので覗いてみたが、最大の既得権益である両手取引問題を一応は批判するものの最後は腰砕け。パネラー全員が既存業界の中でビジネスを行っている以上、“寸止め”せざるを得ないのは判るが、本気で中古住宅流通市場を変革しようという覚悟が伝わってこない。さくら事務所代表の長嶋修氏もツイッターで反省していたが、最初から落とし所を気遣っていちゃ議論にならないよ。

<関連記事>
・【不動産】不動産仲介の両手取引は禁止すべきではないか?―中古住宅市場の活性化を考える(上、中、下)(2009-07-05〜12)
・【不動産】不動産仲介の両手取引禁止+仲介料の上限撤廃+見積明細書の義務化で、中古住宅流通の活性化を!(2009-10-15)

 森ビルが創設したアカデミーヒルズで半年ごとに開催されている不動産投資ビジネスセミナーのキックオフ放談会に参加した。不動産投資ビジネスの第一線で活躍している7、8人の講師が一堂に集って、不動産投資市場の現状と見通しについて語る催しで、本音ベースの話を聞けるので重宝している(個別取材すると時間と手間が大変なので…)。
 ただ放談会というぐらいで、結論めいたものを出すわけではなく、毎回、グダグダな感じになってしまうのだが、全体的なトーンは「日本で不動産投資してももう儲からない。やるなら中国など海外に行け!」という内容。予想していた話ではあったが、日本経済の地盤沈下が続いている状況では仕方がないのかも。

「仲介手数料の問題には首を突っ込まない方がいいよ」―ある業界関係者が心配して忠告してくれたことがある。もともと小心者なので面倒な問題はできるだけ避けるようにしているが、そんな忠告を受けたのは自動車担当だった94年頃、自動車リサイクル問題を取材して回っていたとき以来のことだ。不動産仲介手数料と自動車リサイクルでは全く別物ではあるが、業界関係者の多くが問題を認識していながら、誰も手を付けたがらなかったという点では共通している。自動車市場では、2004年に自動車リサイクル法が施行され、ようやく生産から廃棄までのライフサイクルが確立された。長く住み継ぐことで、「廃棄物を減量し、資源を節約し、国民の負担を軽減する」透明性の高い住宅市場のライフサイクルはどのように構築するのか?不透明と言われ続けてきた不動産流通システムに手を付けずに済むはずはない。たかが「3%+6万円」の問題ではないのである。

 両手取引の最大の問題は、売主と専任媒介契約を結んだ不動産仲介業者が両手取引ができる買主を「
選別
」することである。消費者が、買主の立場で物件選びをしてくれる不動産業者をサポートにつけて物件を購入しようとしても、「すでに先約がある」といった適当な理由をつけて断る仲介業者は後を絶たない。株式市場のようなオープンな市場でないとは言え、どう考えても”アンフェア”である。さらに両手取引では、消費者は仲介業者を選ぶことができず、仲介手数料も業者の言い値で応じるしかない。結果的に競争原理が働かず、仲介手数料はサービス内容に関係なく、上限の3%+6万円に張り付いたままだ。不動産流通市場をオープンでフェアな市場にするには、やはり両手取引を禁止する以外に方法はない。
 消費不況で新設住宅着工戸数の落ち込みが深刻化するなか、中古住宅市場の整備に向けた取り組みが始まった。新築住宅の約10分の1の規模に止まっていた中古住宅の流通量を大幅に拡大させようというわけだが、果たして思惑通りに需要が拡大するのか?中古住宅の品質向上や優良なリフォーム業者の育成といった対策以前に、不動産仲介の透明性を高め、消費者が安心して取引できる不動産流通市場を確立するのが先決ではあるまいか。その第一歩は、いまだに法的に認められている両手取引(仲介業者が不動産の売主、買主の双方から仲介料を得る)を禁止することだ。なぜ、両手取引が問題なのか?消費者の立場から不動産仲介の問題点を明らかにしたい。

 総合不動産、マンション専業の第3四半期決算が5日発表され、マンションの完成在庫が積みあがっている実態が明らかになった。三井不動産でも12月末時点の完成在庫が742戸と「過去最高水準」になり、3月末に向けて「さらに積み上がる可能性がある」としている。今年10月には住宅瑕疵担保責任履行法の全面施行を控えており、10月以降引渡しの新築物件は保険加入が義務付けられ、未加入の場合は中古に扱いに。改正建築基準法による混乱の二の舞を避けるためにも、完成在庫の状況を見ながら法施行の先送りも視野に入れる必要がありそうだ。

 ――続きは、日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)が新たに開設したニュースサイト「REJAニュース」でお読みください。

 総合不動産、マンション専業の第3四半期決算が5日発表され、マンションの完成在庫が積みあがっている実態が明らかになった。三井不動産でも12月末時点の完成在庫が742戸と「過去最高水準」になり、3月末に向けて「さらに積み上がる可能性がある」としている。今年10月には住宅瑕疵担保履行法の全面施行を控えており、10月以降引渡しの新築物件は保険加入が義務付けられ、未加入の場合は中古に扱いに。改正建築基準法による混乱の二の舞を避けるためにも、完成在庫の状況を見ながら法施行の先送りも視野に入れる必要がありそうだ。

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 80年代の土地バブルの反省から、日本の不動産市場に本格導入された「収益還元方式」―。不動産を証券化する時の利回りを計算するための不動産鑑定方法で、「実際の収益に基づいた価格なので、バブル期のような実体経済と乖離した地価高騰は起こらない」との触れ込みだった。それでもファンド主導によるミニバブルが発生し、マンション価格も消費者置き去りで高騰した。改めて不動産市場における「価格」の信頼性を考える必要があるのではないだろうか。

 90年のバブル崩壊のあとも自己責任原則を貫いてきた不動産業界が公的支援を受けることになった。これまでも土地や建物を対象に買い取り支援を行った前例はあるが、不動産業者の資金繰りを国が面倒を見るのはまさに異例の措置。麻生太郎総理が言う”未曾有”の金融危機とは言え、個人投資家や一般企業の不動産投資に公的支援が行われるわけではない。金融機関とともに過度なレバレッジや不透明な不動産鑑定評価でミニバブルを演出し、つい1年前まで不動産業界は空前の利益を上げてきた。公的支援によって不動産業界の社会的責任が改めて問われている。

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 「不動産ファンドが果たしてきた役割は、80年代バブル期の土地転がしと同じだったのではないか?」―サブプライム問題をきっかけに急激に収縮した日本の不動産投資市場に対して、そんな厳しい意見が出ている。不動産証券化も本来は、より良い”まちづくり”を支援する道具であるはず。ところが、投資利回りばかりに目を奪われて、かつての土地転がしと同じカネ儲けの道具になっていたとの見方だ。「日本の不動産市場のファンダメンタルズは悪くない。J-REITも底を打って回復する」(大手不動産幹部)との声も聞こえてくるが、不動産ファンドが果たすべき役割を改めて考えることが先決ではあるまいか。
<千葉が執筆した関連記事>
不動産ファンドの急成長はいつまで続くのか
」(2005-09-29:日経BPnet)
米国住宅の価格安定化政策が不可欠―国際土地政策フォーラムで米ウィスコンシン大教授が講演
」(2008-10-29:REJAニュース)

 不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人が10月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、経営破たんした。負債総額は約1123億6500万円。不動産そのものに投資を行うエクイティ型REITの経営破たんは、不動産証券化協会によると世界で初めて。

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 「経団連の会長・副会長には、株屋(証券会社)、土建屋(建設会社)、地上げ屋(不動産会社)から選ばれることはない」―バブル時代に先輩記者からそう教わっていた不動産業界から初めて三井不動産の岩沙弘道社長が、日本経済団体連合会の副会長に5月28日付けで就任することになった。財界総本山の威光もかつてほどではなくなったと言え、岩沙さんが副会長に選ばれたのは不動産業が日本経済のリーディング産業の1つに認められた証明でもあるだろう。その重みを岩沙さんと三井不動産は当然、承知していると思うが、果たして不動産業界全体がどこまで認識しているだろうか。
 森ビルが運営する教育事業「アカデミーヒルズ」(理事長・竹中平蔵・慶大教授、前総務相)が16日に六本木ヒルズで開催したアーク都市塾セミナー「これからの東京〜ビジネスと感性が融合する都市像〜」を聞きに行った。パネリストは、建築家の隈研吾氏、アカデミーヒルズ理事長の竹中平蔵氏、モデレーターはアーク都市塾長の米倉誠一郎氏(一橋大学教授)という顔ぶれ。どなたも口達者な方々なので、セミナーを聞いている分には十分に楽しめたのだが…。
 三井不動産が9日、新しいグループ長期経営計画「新チャレンジ ・プラン2016」(07―16年度)を発表した。03年度にスタートした長期経営計画「チャレンジ・プラン2008」の目標を2年前倒しで達成したことから、新たに10年計画を策定。09年度までの具体的な定量指標を示したうえで、岩沙弘道社長は記者会見の席上で「はっきり言って(目標を)達成する自信はある」とキッパリ。1998年に社長に就任して来年で5期10年―。そろそろ最後の仕上げの段階ということか?
 日本最大級の不動産物件情報サイト「ホームズ」を運営するネクスト・井上高志社長の記事
「”住まい”から”暮らし”のインフラづくりをめざして」
が、起業家応援サイト「アントレステージ」に掲載されました。昨年10月に東証マザーズに上場して間もない12月はじめに、かれこれ5年振りぐらいに取材させてもらったときのものですが、ビジネスにかける熱い思いを語ってくれました。
 ―記事は、
フジサンケイビジネスアイ
アントレプレナー
が提供する起業家応援サイト
「アントレステージ」
でお読みください。

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