日本の住宅市場の将来像について考えるシンポジウム「ハ会」を開催した不動産・建築業界の有志メンバーが約1年ぶりに集まってサロン「ここが変だよニッポンのリフォーム・リノベ」を11月4日に渋谷で開催した。お酒も入って仲間内のフランクな集まりとの印象もあったが、ハ会シンポジウムでの自らの発言に対してメンバー各自がその後どのような活動を行ったのかを検証。今後の抱負についても語る有意義なイベントだった。世の中、総理の所信表明にしても、新聞の社説にしても、ただ「言いっぱなし」で検証が行われていない状況を考えると、自らの発言に責任を持とうとする姿勢に大いに感心させられた。今後の活動にも期待したい。

 ハ会シンポジウムは、2010年6月から11年2月まで計5回開催された。新築、中古、賃貸など住宅市場を複合的に捕らえて、リノベーションも加えて、市場全体をいかに活性化させて消費者が求める住宅を提供することができるかを議論した。ハ会は回を重ね、議論を深める中で、めざすべき市場の姿もより具体的になり、最後には2011年3月に閣議決定した国の住生活基本計画に対して、ハ会としてパブリックコメントを提出した。

 今回のサロンは、一般社団法人リノベーション推進協議会が主催する「リノベーション・エクスポ・ジャパン2011」のなかで、ハ会シンポジウムに登壇したメンバーが集まったトークイベント。ブルースタジオ執行役員、建築家の石井健氏が司会役となって、各メンバーのシンポジウムでの発言内容をスライドに映しながら、近況を語り合った。

 インスペクション(第三者による建物検査)事業を積極的に進める不動産コンサルタント会社、さくら事務所社長の長嶋修氏は、2011年5月に全国大家ネットワークを設立したほか、リクルート住宅総合研究所所長の矢部智仁氏とともに、2011年9月に国土交通省が立ち上げた「不動産流通市場活性化フォーラム」の委員に就任したことを報告した。リクルート住宅総合研究所主任研究員の島原万丈氏は、東日本大震災の被災者支援のために空家などを一時的に提供する「仮住まいの輪」の活動などを紹介した。

 リノベーション分野で高いブランド力を持つブルースタジオの専務で建築家の大島芳彦氏からは、一般社団法人HEAD研究会(代表・松永安光氏)の活動として人材育成に向けて2011年8月に北九州でリノベーションスクールを開催したことなどを報告。マンションリフォームを数多く手がけるリビタ常務の内山博文氏は、原発事故発生後、東京電力子会社として事業再編などの影響に直面しながら、新しい取り組みを進めていることを紹介した。

 ハ会メンバーのほかに、良品計画で「無印良品の家」を供給している担当者もゲスト参加。現在の事業展開やmuji.net会員の状況、無印良品ブランドでの家づくりについて語ったのが興味深い内容だった。イベントのテーマである「ここが変だよニッポンのリフォーム・リノベ」についてはあまり語られていなかったのは残念だったが、国交省の住宅流通市場活性化フォーラムの報告がまとまる2012年8月頃にも、再びハ会メンバーによる住宅流通市場の検証を聞きたいところだ。

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