カネの使い方は難しい―。ある意味、センスの良し悪しや品格までもが顕著に表れる。2006年は「格差社会」問題が大きくクローズアップされた。市場主義経済が続く以上、大きく成功するものがいる一方で、敗れて脱落していくものが出るのも仕方がないこと。いくら”再チャレンジ”しても、全員が成功するなどあり得ない話である。日本も着実に格差社会へ向かうなか、日本人は”格差”とどのように向き合って行くのだろうか―。

 小泉純一郎首相が退任して、新たに安倍晋三政権が発足した。メディアでは安倍首相のウィークポイントを経済政策と論評されているが、新内閣でも、財政経済担当相に民間の太田弘子氏が起用されるなど、当面は小泉政権を踏襲したスタイルで民間主導の経済運営が行なわれそうである。その前に、小泉政権5年間の経済運営について、筆者の専門である建設・不動産・ITの3分野に焦点を当てて振り返ってみたい。
 ゼネコン大手の鹿島や家電の三洋電機など上場オーナー系企業のトップ交代で予想外の人事が相次いでいる。堤義明氏による西武グループ支配などで、オーナー経営に対する社会の評価も厳しくなっていることが、同じオーナー系企業の後継者選びにも影を落としていると言えそうだ。
 「国内販売シェア40%を死守する!」―95年8月の社長就任会見で奥田新社長が言った一言で、トヨタのシェア40%割れ問題が一気にクローズアップされた。他の新聞でも、トヨタの国内シェアが低下し始めていることに一斉に注目するようになったのである。それと同時に、トヨタ内部の緊張感が一気に高まった。
 『トヨタ自動車、13年振りに国内シェア40%割れの危機!』―なかなか挑発的な見出しだった。その年、結果的にトヨタ自動車の国内販売シェアは13年振りに40%を割り込んだから良かったが、あとから考えると冷や汗ものである。
 企業経営者にとって最も必要な資質は、時代や市場の流れを冷静に読む「判断力」と、思い切った対応策を講じる「決断力」の2つではないだろうか。20年近い記者経験のなかで、数多くの企業経営者を取材したが、先ごろ日本経済団体連合会の初代会長に就任したトヨタ自動車の奥田碩会長とも、忘れられない思い出がある。なぜ、トヨタは強いのか。その一端を示すエピソードを紹介したい。

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