「森ビルには私から申し出て建設工事に参加しないことを決めた」―西松建設の近藤晴貞社長は、東京・港区の旧本社跡地の敷地に建設する「虎ノ門ヒルズ・ビジネスタワー」の工事に参加しなかった経緯をそう説明した。「重要なのは優良な資産を形成することであり、工事にこだわる考えはない」として工事発注者の立場を強調。日本建設業連合会が1月26日に開催した報道機関や有識者との新春懇談会の席で、筆者の質問に答えた。

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マッチポンプ式かもしれないが…

 新聞や雑誌の記事では、記者が抱いた疑問や問題意識を一通り取材してから、その結果をまとめて公表するのが普通だ。未来計画新聞でも、基本的にはそういうスタンスで記事を書いて掲載してきた。

 最近はもの忘れが多く、時間の経過とともに疑問や問題意識が薄れていくことも増えた。世の中ではいろいろな事象が次から次に起きるので、その時には疑問に思っても、いつの間にか数多くの疑問の中に紛れてしまうのだ。もちろん、些細で詰らない疑問も多いのだが…。

 1月19日にアップした記事では、森ビルや野村不動産の新規プロジェクトの話をまとめただけでなく、その時に感じた疑問も加えてみた。いずれ取材できる機会があったら、改めて記事にする予告編みたいなつもりだった。

 こうした記事の書き方は「マッチポンプ式」で、あまり良いやり方ではないかもしれない。ただ、一人のフリージャーナリストが取材できる範囲は限られているし、もし私が感じた疑問や問題意識に共感して、他の記者が取材して記事にして全く構わないし、むしろ有難い。

発注者と受注者で生じる利益相反を回避?

 日建連の新春懇談会に西松建設の近藤社長が出席するかどうかは確証はなかったが、会場で合うことができたので、虎ノ門ヒルズ・ビジネスタワーの建設工事について聞いてみた。

 確かに旧本社跡地周辺は、虎ノ門ヒルズの誕生で急速な発展が期待できるエリアだ。今回のプロジェクトも、単なる本社ビルの建て替え工事ではなく、国際ビジネス都市・東京の重要な拠点となるものである。

 そこに優良な資産を保有できることは西松建設の今後の経営安定化に大きく寄与するのは間違いない。自ら施工者となれば、発注者と施工者で利益相反が生じる恐れもある。あくまでも発注者の立場から最適な施工業者を選んだというわけだ。

 前回の記事では準大手ゼネコンとして工事に参加していないのは「寂しい話だ」と失礼なことを書いたが、その判断が西松建設の今後の経営にどう生かされていくのかを注視したい。

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