【IT】挫折から学んだ人生哲学を実現した「FAQサイト」ナンバーワン企業―オウケイウェイブ・兼元謙任社長(中)(2006-07-07)

 インターネット上で、利用者が互いにQ&Aをやり取りする―FAQサイトのアイデアをつかんだ兼元社長は、インターネットの勉強を本格的にスタートした。

 まずは、インターネットの掲示板に質問を書き込んで、いろいろと教えてもらおうとしたのだが、なぜか「マナーがなっていない」と相手を怒らせてしまう。最後には「掲示板から出て行け!」と追い出される始末。そんな経験を積みながら、Q&Aによるコミュニケーションサイトのイメージを具体化。企画書をまとめて、さまざまな企業に売り込もうと歩き回った。

アイデアを実現するため自ら起業

 最初に大手企業のメセナ(社会貢献)担当へと売り込もうとしたのだが、全く相手にされない。何度も企画書を書き直しては、同じ企業にも足を運んで、話を聞いてもらった。

 「絶対にビジネスになります!」

 そう必死に食い下がる兼元氏に、ある企業の担当者がこう言った。

 「そんなに言うのなら、自分でやってみたら…」

 それまでは、自ら起業することをほとんど考えていなかったという兼元氏も、その一言で起業を決意。資本金には、ホームレス生活時代に仕送りして妻が使わずに貯蓄していた400万円を拠出してもらい、1999年7月に「有限会社オーケーウェブ」を設立した。

 いざ会社を設立したものの、ウェブサイトを開発するプログラマーはおらず、資金も底を着くのは時間の問題。事業計画の立て方も判らず、ベンチャーキャピタルにも相手にされない。とりあえずホームページ制作の受託で食いつなぎながら、あらゆる伝手をたどって自分のアイデアを形にしてくれるプログラマーを探し回った。すると、10月に日本に来ていた米国人で、「無償でプログラムを作っても良い」というエンジニアが見つかったのである。

サイト立ち上げ後に出資者、現る

 3カ月後、一通のメールとバグだらけのプログラムを残して米国人は帰国した。その後を、プログラムのメンテナンスができるという高校時代の同期生を何とか見つけ出して引き継いでもらい、2000年1月にQ&Aのウェブサイト「OKWebコミュニティ」を立ち上げた。

 まだ世の中にない新しいものを相手に理解させるのは至難の業。兼元氏が企画書を持ち込んでいくら説明しても全く相手にされなかったFAQサイトも例外ではなかった。

 しかし、実際にサイトが立ち上がって現物を見れば、相手も将来性を理解してくれる。すぐにNTTグループなどからも出資を得られることになり、3月には資本金を3000万円に増資して株式会社に改組。本社も渋谷に移転した。

 その増資した資金はサーバの購入などで2カ月で使い果たしたが、6月には楽天が1億円の増資を引き受けてくれた。これで何とか事業基盤を整えることができた。しかし、立ち上がったばかりのFAQサイトの広告収入だけでは今後の事業拡大は難しい。そこでFAQサイトの仕組みを、企業サイトにも組み込めるシステムを開発して売り込むことにしたのである。

 製品も出来上がり営業マンも雇って営業活動を始めたが、システム販売の経験もなく、売り方が全く判らない。

 「経営書などに書かれている方法は何でも試してみた」

 注文が取れるまで客先で座り込んでみたり、知り合ってすぐに「注文ください」と迫ったり…。試行錯誤を繰り返すうちに、第2号ユーザーとしてYAMAHAを獲得するなど、徐々に成果が出てくる。現在、同社のFAQシステムを導入している企業は、「goo」を運営するNTTレゾナントなど150社以上となったが、決して道のりは平坦ではなかった。

荒地に”旗”を起てる

 FAQサイトの知名度アップには、「質問してください」と書いたシールを作成。土日に渋谷の交差点で女性を中心に配布したり、質問してくれた人に葉書を送るなどの地道な活動を続けた。

 「サイトを立ち上げた当初は、メディアなどでも”掲示板”や”メーリングリスト”としか紹介されなかった。ようやくヤフーさんが同じような仕組みを始め、”FAQサイト”という言葉が社会的に認知されたのは、つい最近のこと」

 オウケイウェイブでは、実は4年前から「ナンバーワンFAQカンパニー」を自称してきた。まだ誰も足を踏み入れていない未開拓な荒地に「旗」を起てて、回りの世界を巻き込もうという夢を描いてきたからだ。

 2010年には、20カ国語で100カ国にサービスを提供し、10億人の会員、10万社の企業にFAQシステムを利用してもらう―。「グーグルを超えたい」と公言する兼元氏の挑戦は、始まったばかりだ。

つづく