【コラム】テクノロジーで何をイノベーションするのか−2018年を振り返って(2019-02-02)

 AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングス)、ブロックチェーン、ビッグデータ、画像認証技術・・・話題のデジタルテクノロジーで、経済・社会、産業・企業がどう変わっていくのか。経済記者にとって関心事のひとつだ。2018年にアウトプットした記事も何やかんやと言いながらテクノロジー関連が多かった。ただ、秋ぐらいから先行き不透明感が強まり、日本経済は停滞し始めている。果たして2019年はどのような年になるのだろうか。今年最初のブログ更新なので、まずは18年に執筆したニュース記事を整理して振り返っておく。

【2018年に執筆した主なニュース記事一覧】を掲載しました。

2018年はウィワークの記事からスタート

 2019年がスタートして1か月が過ぎた。年末に急ぎの仕事があって自宅に籠っていたら、年明け早々に札幌に住む父が他界。葬式を済ませて戻ってから、2つの仕事を仕上げたところでインフルエンザを発症して1週間近く寝込んでしまった。そのあと、1月末までに提出する年末調整などの書類を作成して税務署や市役所に送付したら、もう2月である。

 フリーランスで仕事をしていると、取材依頼するたびに、どんな記事を書いているのかを必ず聞かれる。仕事には業界団体や企業からの依頼原稿の執筆もあるし、中にはダイヤモンド社のZaiオンラインの「ここが変だよ日本の不動産取引―不動産会社に騙されるな!」の編集協力といったものもある。

 下記のニュース記事一覧で■が付いているのが、テクノロジー関連で、3分の2を占める。2月に書いたウィワークの記事は、2年ぐらい前からデジタルテクノロジーによってオフィスのあり方が劇的に変化すると予想して取材していた成果をまとめたもの。4月に東洋経済オンラインでも日本の不動産大手にスポットを当ててオフィス市場の構造変化について記事を書いたが、その後の動向はほぼ予想通りの展開になっている。

【18年に執筆した主なニュース記事】

所有者不明土地対策で「外国人所有」野放し(月刊FACTA:1月20日発売号)

・明治時代につくられた不動産登記制度は外国人による土地所有を想定していない。国交省で所有者不明土地対策が議論されているが、外国人所有の取り扱いをどうするのかは依然として不透明だ。

□建築・土木の人脈を徹底解剖!東大閥が産官学すべてを牛耳る(週刊東洋経済:2月17日号)

■日建設計、パシコンと提携―ソフトバンクの狙いは?(週刊東洋経済:2月17日号)

・ソフトバンクでは、東京テレポートセンターに5Gの実験設備を設置して、様々な企業との連携を強めている。大成建設とも建機の遠隔操作システムなどで実験を行っている。

□業界期待のPFIに暗い影―契約後に相次ぐ契約見直し(週刊東洋経済:2月17日号)

・記事掲載後に、茨城県神栖市は契約見直しを断念。福岡県行橋市でもPFI事業推進派の市長が当選して契約見直しはなくなったが、愛知県西尾市は問題が泥沼化している。

黒船「ウィワーク」に大手不動産が戦々恐々(月刊FACTA:2月20日発売号)

木材活用最前線「中高層ビルを木造に」、経済同友会が提言(日経×TECH:3月28日)

将来5割減?「オフィス」に迫り来る構造変化―不動産大手がベンチャー支援を始めるワケ(東洋経済オンライン:4月3日)

賃料アップを約束するリノベーション―清水建設の「サステナビリティ・リノベーション事業」(日経BP:4月11日)

□観光兼ねた投資ツアーが人気―高級物件狙う外国人投資家の事情(週刊東洋経済:4月21日号)

・日本で不動産を保有する外国人投資家は、所得税や固定資産税を納付するために日本に納税管理人を置く必要がある。納税管理人として多くの物件を管理している税理士事務所を取材して事情をまとめた。一方で、納税管理人を置かずに脱税する手口も増えているとの情報も。

六本木ロアビルが姿を消さざるを得ない事情―東京都の耐震強度不足ビル「実名公表」の波紋(東洋経済オンライン:4月25日)

ニュー新橋ビルのすぐには解決できない悩み―多数の区分所有が耐震強度不足問題を複雑に(東洋経済オンライン:5月4日)

・この記事を見た週刊プレイボーイが「消滅危機の有名ビル&建築物をゆく」という企画で、「サラリーマンの楽園、ニュー新橋ビルのトコトンな楽しみ方」(8月13日号)という記事を掲載。取材協力した。

■賃貸業界を変えた住宅設備開発物語―「宅配ボックス」フルタイムシステム(全国賃貸住宅新聞:5月7日)

混迷する西尾市PFI事業見直し(インフラビジネスJapan:5月14日)

“三方悪し”に向かう西尾市PFI見直し、名古屋大学・恒川和久准教授に聞く(インフラビジネスJapan:5月15日)

全国建設業協会が「働き方改革」を骨抜き?(月刊FACTA:5月20日発売号)

・建設技能労働者にIDカードを保有させる建設キャリアアップシステムに関する記事。18年10月からの運用開始予定が半年延期されて19年4月からに。

■賃貸業界を変えた住宅設備開発物語―物件確認自動応答システム「ぶっかくん」イタンジ(全国賃貸住宅新聞:6月4日)

・イタンジは18年11月にGAテクノロジーズに買収され、完全子会社化。この時の取材に応じた野口真平氏がイタンジ社長に就任した。実はイタンジが買収される3か月前の18年7月に、たまたまGAテクノロジーズの東証マザーズの上場会見に出席。会見後のぶら下がり取材で、なぜかイタンジの話題になってGAテクノロジーズの経営陣が「野口さんは天才だ」と、やたら褒めるので不思議に思っていたのだが…。

健康で快適なビルが人気になる理由―WELL認証、CASBEE-WOを知っていますか?(日経BP:6月27日)

・記事が掲載された1か月後に、ダイキン工業を中心に働く人の快適性・生産性・健康などをテーマとした「未来のオフィス空間」づくりをめざすプロジェクトが7月にスタートした。CASBEE-WOも19年度から認証制度が始まる予定。

■賃貸業界を変えた住宅設備開発物語―浴室乾燥機「DRYFAN」マックス(全国賃貸住宅新聞:8月6日)

・浴室乾燥機の最大手が、ホッチキスで有名なマックスであることを、この取材を通じて初めて知った。

SPCが西尾市を提訴、PFI見直しで費用増加(インフラビジネスJapan:8月10日)

日本の戸建住宅を襲う「ガラパゴス化」の懸念―規格バラバラ「プレハブ住宅」のシェアが低下(東洋経済オンライン:8月30日)

「木造」にプレハブメーカーが参入する事情―プレハブ工法のコスト低下にも限界がある(東洋経済オンライン:8月31日)

・日本で最も一般的な在来軸組工法の本格的な工業化を初めて実現した新会社「ウッドステーション」を取材したのをきっかけにまとめた記事。18年12月には早稲田大学で公開施工実験を実施し、大型木造パネルを使って1日で二階建て住宅を組み立てる様子を公開した。

災害リスクから家を守る―ハザードマップ超活用法(週刊東洋経済&東洋経済オンライン:9月22日号、9月18日)

・地盤調査会社「地盤ネット」を題材とした記事は、2016年10月に週刊エコノミストに書いたが、18年は西日本豪雨など災害が頻発したこともあって、かなり読まれたようだ。

■賃貸業界を変えた住宅設備開発物語―賃貸住宅向け「ホームセキュリティシステム」アルソック(全国賃貸住宅新聞:10月1日)

■BIMは不適切コンサル問題の救世主か(週刊東洋経済:12月8日号)

・マンション大規模修繕工事での不適切コンサル問題は17年春から話題となっているが、「不適切コンサルに騙されないように注意しましょう」というばかりで、有効な解決策が示されていないのが現状。この記事では、テクノロジーを使うことで解決の糸口を探ることを試みた。

2019年の日本経済は変わり目の年に

 時系列に並べてみると、昨年秋ぐらいからアウトプットがガクッと減ってしまった。父の容態が悪化した影響もあったが、記者会見を含めて取材ペースが落ちたわけではない。取材先には申し訳ないが、「記事にしたい」と思うようなネタがなかったからだ。新聞紙面や企業などから配信されるニュースリリースを見ていても、アッと驚くような話題が少なかったように思う。

 「2019年の経済情勢をどう見ているか」と取材先などから聞かれるようになったので、昨年11月頃にレポートをまとめてみた。第二次世界大戦後から現在までの世界の潮流を、政治・経済・金融・情報技術(IT)の4つに分けて年表にして整理してみただけのことだが、潮の変わり目が訪れつつあるように感じた。

 2019年も1か月が過ぎて、これまでのところ良いニュースが聞こえてこない。安倍政権が推進してきたロシアとの領土交渉も進展なく、海外への原発輸出もとん挫した。頼みの中国経済も減速が鮮明になり、米国との貿易交渉が本格化すれば円高が一段と進むだろう。5月に皇位継承儀式、9月にラグビーワールドカップ開幕、さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックとビッグイベントが続く中で、日本経済は厳しさを増していくのではないだろうか。