【不動産】中古マンション時代が到来?―消費者への情報開示は十分か(2017-01-20)

 16年の首都圏新築マンション発売戸数が前年比11.6%減の3万5772戸にとどまり、中古マンションの売買成約戸数が初めて新築を上回ったようだ。マンション管理業協会の山根弘美理事長も1月18日の賀詞交歓会あいさつで、「中古が新築を逆転」した話題を取り上げ、マンションストック全体の92%の管理業務を受託する会員管理会社のコンプライアンス強化に取り組む考えを強調した。よく「マンションは“管理”で買え!」とは言われるが、消費者が安心して中古マンションを購入できる環境は整ったのだろうか。

首都圏マンション市場で「中古が新築を逆転」

 不動産経済研究所が1月19日に16年のマンション市場動向調査の結果を公表した。首都圏のマンション発売戸数は、2008年のリーマンショック後の09年(3万6376戸)以来となる年4万戸割れを記録。初月契約率も68.8%で、好不調の分かれ目と言われる70%を下回った。

 一方、東日本不動産流通機構が1月16日に公表した16年12月度の月例マーケットウオッチのデータを年間合計した16年の首都圏中古マンションの売買成約件数は前期比6.9%増の3万7189戸だった。

 2つの数字を単純に比較できないが、16年12月末の新築マンションの完成在庫は7160戸で、15年末に比べて729戸増加しているので、新築の売買成約件数は発売戸数から在庫増加分を差し引いた3万5043戸。結果、中古が新築を約2千戸上回った計算となる。

 首都圏のマンション市場で、中古が新築を上回るとの予測は業界内ではすでに話題となっていたが、不動産経済研究所のデータで改めて「中古マンション時代」が到来したことを印象付けた。

中古マンションの情報開示はどこまで進んだのか

 これまでも日本における中古住宅市場の拡大に向けて様々な取り組みが進められ、2012年6月の「不動産流通市場活性化フォーラム」提言を機に、国土交通省を中心にさまざまな施策を実施してきた。

 2016年5月には宅地建物取引業法が改正され、「既存建物の取引における情報提供の充実」を目的に建物状況調査(インスペクション)に関する説明が18年4月から重要事項説明で義務化される。ただし、過去に行われたインスペクションの有無などを説明するだけで、インスペクションの実施が義務化されるわけではない。

 4年以上も紛糾していたマンション標準管理規約の改正も2016年3月に実施され、マンションの管理状況などの情報開示が拡充された。従来は会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類の情報開示に限られていたが、長期修繕計画書、設計図、修繕等の履歴情報を追加。修繕積立金の積み立て状況(滞納状況を含む)の情報開示も加えられた。

 マンション管理業協会の山根理事長は、標準管理規約改正について管理組合の業務に「防災活動」と「地震保険に関わる業務」が明記されたことなどを高く評価。2017年の課題としてマンションの老朽化、居住者の高齢化に加えて、マンション管理員など現場従業員の高齢化と人手不足への対策、標準管理規約改正に伴う「マンション標準管理委託契約書」の改訂を挙げた。

 マンション標準管理委託契約書は、2001年に施行されたマンション管理適正化法に基づいて管理組合と管理業者との間での標準契約の指針となるものだ。先の標準管理規約改正に合わせて長期修繕計画書などの情報開示部分については先行して2016年7月に一部改正されたが、外部の専門家の活用、駐車場の外部貸しなどマンション管理業者が提供する付加サービスも含めて見直しが実施される予定だ。

中古マンション市場の活性化に向けて

 中古マンションの買取再販事業を展開するスターマイカの水永政志会長兼社長は、1月16日の16年11月期決算説明会で、人口減少時代に突入して新築マンションは2030年に向けて市場規模が半分に縮小すると予測。その落ち込みを中古がカバーする形で今後の中古市場の拡大が期待できるとの見方を示した。

 最近では雑誌やネットで「ビンテージマンションをお洒落にリノベーション」といった記事もみかけるが、1981年5月末までに建築許可を受けたマンションは旧耐震基準の建物で、耐震性に問題がある可能性がある。施工期間が平均1年半として、1983年完成、今年で築34年以上のマンションは慎重にチェックする必要があるが、十分に情報開示されていないという話も聞く。

 マンション管理業者が保有する様々な管理情報が、管理組合を通じて宅建業者や買取再販業者に提供され、購入予定の消費者に適切に開示されているのかどうか。中古マンション市場の活性化のために積極的な情報開示をさらに進めていく必要があるだろう。(了)