「中古マンションの1棟リノベ市場はいまやレッドオーシャン。大手デベロッパーなどの参入が多く、当社はしばらく撤退する」―スターマイカの水永政志会長兼社長は1月16日の2016年11月期決算説明会でそう語った。今期は同社が得意とする「賃貸物件として稼働中の中古マンションを住戸単位で買い取り、賃借人の退去後に改装して再販する」ビジネスに注力して増収増益を目指す。

 1月13日に兜クラブで記者発表した前期決算では、売上高は前期比8.5%増の209億円、営業利益は同32.2%増の32億円で、過去最高を更新。2014年12月にスタートした3か年計画の目標を2年でクリアしたため、16年12月から始まる新たな3か年計画を策定。2019年11月期には売上高235億円、営業利益35億円をめざし、東証1部上場をめざす。

 同社では、中古マンションを住戸単位で買い取り再販する主力事業のほかに、1棟まるごと買い取って改修して販売する1棟リノベを早くから手掛けてきた。しかし、「昨年あたりから大手が新規参入して買取価格が上昇して儲かりにくくなった」としており、同社でも一部損失が発生する案件もあったようだ。

 日本経済新聞が1月12日付で「三菱地所レジデンスが既存マンションを1棟まるごと購入し改装して売る再販事業を開始する」との記事を掲載。昨年8月に筆者もNTT都市開発とリビタが共同で行った1棟リノベ案件の記者会見に出たが、「資金力のある大手にとっては参入しやすい市場」(水永氏)と言えるようだ。

 「三菱地所レジデンスのように販売価格が1億円超の高級物件を扱うなら、三菱のブランド力を生かせると思うが、当社のように4000万円以下の物件をメーンに扱っている事業者では苦しい。今後は本業の中古マンション事業に強化する」という。

 最近の中古マンション市場について「当社がターゲットとしている4000万円以下の市場は実需に基づいて動いているが、高額物件は在庫価格が上がりすぎでバブル状態」との見方を示した。

 スターマイカでは、15年5月に民泊・ホテル・旅館事業者向けクラウドソーシングサービス「mister suit」を運営するSQUEEZE(スクイーズ)に出資し、水永氏が社外取締役に就任。民泊ビジネスの準備を進めているが、「まだ民泊新法も成立していないので、今回は具体的な話題提供は見合わせた」としながらも、「賃貸マンションを民泊で運用すれば通常の賃貸に比べて3倍の収益を見込める。営業日数が180日に制限された場合、それ以外をどのように運用するのかを含めて準備を進めている」と意欲を見せた。(了)

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