月刊リベラルタイム12月号に記事を掲載した。5年後の「日本社会」という特集で、5年後に成長が期待できる産業・ビジネスについて書いてほしいという依頼だった。「住宅・建設・不動産の業界しかほとんど取材していない私に、なぜ執筆を依頼したのか?」と聞いたのだが、たまに呟くツィートを見て原稿依頼したとのこと。編集者もよほど困ってのことだろうから、少々偏った原稿でも良いと思い、人口問題を軸に記事をまとめた。

 今後、人口減少が加速するなかで国内需要も縮小するのは避けられないところだが、そうした中で絶対数が増加するのが「死亡数」である。総務省推計で2014年は127万人だったが、2020年には140万人、2030年には160万人を突破。これから15年で3割は増える計算である。もちろん高齢者人口も増えるのだが、高齢者の個人消費を活性化させようとしても簡単ではない。高齢者は1600兆円もの金融資産の6割以上を保有していると言われ、持ち家率も8割と高いことを考えると、「相続ビジネス」が最大のターゲットになるだろうと書いた。

 さらに人口減少時代でも、外国人観光客を取り込める「観光業」はこれから伸びるだろうし、逆に労働力不足をカバーするロボットを含めた「ICT産業」も期待できる。日本はあらゆるモノがインターネットに繋がるIoT(インターネット・オブ・シングス)戦略で欧米に比べて大きく出遅れているだけに、2020年に向けてIoT時代の成長戦略をどう描くかが、5年後の明暗を分けることになると締めくくった。

 ここに1、2年、ネット企業やITベンチャー企業が相次いで不動産流通市場や住宅・リフォーム市場に参入してきている。市場規模が大きいにも関わらずICT化が大きく遅れているので、自分たちにもビジネスチャンスがあるとの読みだ。既存企業にとっては面白くないかもしれないが、今後10年以内に団塊の世代は75歳以上の後期高齢者になる。消費者ニーズがある時期に急激に変化してもおかしくはない。(2015-12-08:未来計画新聞掲載)

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