【住宅】スマートハウスはアプリ開発でどう進化するか?―三井ホームがマルチベンダー対応の実験住宅を建設(2012-09-11)

sIMG_5050.jpg 三井ホームが9月10日、三井不動産などが推進するスマートシティプロジェクト「柏の葉キャンパスシティ」(千葉県柏市)内にスマートハウスの実証実験住宅「MIDEAS(メディアス)」=写真=を建設し、報道陣に公開した。独自開発のHEMS(家庭用エネルギー管理システム)に、太陽光発電、ダブル蓄電池、アシスト電源(ディーゼル発電)のほか、空調システム、家電製品、電動窓開閉システム、各種センサーなど約500アイテムの設備機器・センサー類を接続して、制御可能な仕組みを構築。今後は同住宅を使って居住者の好みや要望に合わせて空調、窓、照明などの機器を最適に制御するアプリケーション開発に力を入れる。スマホ(スマートフォン)と同様に、スマートハウスでもアプリ開発が今後の市場競争の鍵を握ることになりそうだ。

エコーネット・ライトの採用は今後の課題に

 スマートハウスに不可欠なHEMSは、住宅でのエネルギー使用量をリアルタイムでモニタリングして「見える化」するだけのシステムではない。エネルギー使用量や各種センサーなどの情報に基づいて、空調や照明などの設備機器を制御する機能を備えた、スマートハウスの頭脳部分である。HEMSによって、居住者の好みや要望に合わせて各種設備機器を自由に制御することが可能になるわけだ。

 これまでも空調や照明などを制御できるHEMSを東芝やパナソニックなど大手電機メーカーがすでに商品化しているが、HEMSで制御できるのは同一メーカーの製品ばかりだった。インターネットのように、異なるメーカーの機器をネットワーク接続して一台のHEMSで制御できるようにするために、大手家電メーカーで組織するエコーネットコンソーシアムが規格標準化を検討。昨年12月に新たに開発した規格「ECHONET Lite(エコーネット・ライト)」を経済産業省でも公的に推奨することを決定し、国際標準化にも取り組むことになった。

 今回、三井ホームでは、MIDEASのHEMSにエコーネット・ライトの採用を見送った。まだ、同規格が公表されて時間が短いため、HEMSに接続する設備機器のほとんどがエコーネット・ライトに準拠していないためと説明。まずはカスタマイズしやすい独自規格のHEMSを導入し、設備機器やセンサー類を個別にHEMSに接続して、マルチベンダー対応の環境を実現した。

 記者会見では、将来的にはエコーネット・ライトを採用し、国際標準にも対応していくことを表明。今回の実証実験の成果をエコーネットの規格にも反映させたいとの考えだ。今後、大手ハウスメーカーでエコーネット・ライトの採用が進めば、同規格に準拠した設備機器や家電製品も増えて、スマートハウスを低コストで実現できる環境が整っていくことが期待される。

赤ん坊状態のHEMSをどう成長させるか

 三井ホームでは、MIDEASに実証実験を通じてスマートハウスのアプリケーション開発に力を入れる。スマホでも、アプリ次第で使い勝手が大きく左右されるように、スマートハウスでも居住者に合わせて様々なアプリを用意する必要がある。例えば、花粉症患者向けには、花粉の飛散量をセンサーで計測して窓の開閉などを自動的に制御するようなアプリが求められるだろう。そうした居住者の要望や好みに応じてHEMSのアプリを入れ替えることで、より快適でかつ経済的な住環境を実現するのがスマートハウスの目指す姿だ。

 「現在のHEMSの頭脳は、まだ赤ん坊のような状態。これから実証実験を通じて、様々な生活シーンに対応できるアプリケーションを加えることで成長させていきたい」と、三井ホーム技術研究所所長の坂部芳平氏も意気込む。

 また、実証実験では、三井不動産が進めるスマートシティプロジェクトで、スマートシティの中核となるAEMS(エリアエネルギー管理システム)の拠点「(仮称)柏の葉スマートセンター」と実験住宅を接続して、地域全体でのエネルギー利用の最適化や新しいサービス提供の実験も行う計画だ。スマートセンターによるHEMS情報の利用は、個人情報保護にも配慮しながら仕組みづくりを進めていく。

 MIDEASは、11月9日まで一般公開したあと、基礎実験を2013年9月末まで、入居実験を2015年11月末まで行う予定。