大成建設が12日に開催した2011年3月期決算の専門紙、雑誌向けの記者説明会に出席した。連結売上高は前期比15.5%減の1兆2181億円、営業利益は同1.9%増の362億円、純利益は同48.7%減の108億円の減収減益となった。工事採算の改善と販管費の削減で営業利益はプラスとなったが、為替差損増加による営業外収益の悪化、前期に実施した投資有価証券売却益の減少などで減益となった。次期業績の先行指標となる個別業績の受注高は、前期比0.9%減の9737億円で、2年連続で1兆円の大台を割ったものの、繰越工事残高は同2.4%増の1兆5153億円と減少傾向に歯止めがかかった。
次期(2012年3月期)の連結業績予想は、売上高は前期比9.2%増の1兆3700億円、営業利益は同1.9%増の370億円、純利益は10.1%増の120億円。東日本大震災の影響が建設需要にどのような影響を及ぼすかは全く見通せないため、「震災の影響を業績予想に全く織り込んでいない」(阿久根操副社長)という。現時点で見込める受注案件を積み上げて業績予想を立てたとしている。
注目されるのは、個別業績予想で土木工事の売上総利益率が5.0%から9.9%に一気に改善を見込んでいる点だ。過去に受注した採算の悪い海外土木工事の消化が進んだためと説明。ここ2年ほど経営の重荷になっていた海外大型工事の問題もようやく峠を越えたようだ。当期の海外受注高は、為替問題もあって前期比47.7%減の425億円にとどまったが、「年間2000億円程度をコンスタントに受注できる体制を築きたい」としており、次期の海外受注は土木・建築合わせて前期比2.8倍の1200億円をめざす。