建設・不動産業の2010年度第2四半期の決算が出揃った。大手ゼネコンが2010年度通期の連結売上高予想を軒並み下方修正する一方、大和ハウス工業は、通期売上高予想を1兆6600億円に上方修正。建設企業のトップが、初めて大和ハウス工業に交代することが確実となった。三井不動産の連結売上高もゼネコン大手を抜く見通しだ。国内建設投資が縮小するなかで、均衡縮小を続けるゼネコンに対して、事業多角化や海外事業にも積極的な大和ハウス工業、都市再生に力を注ぐ不動産最大手の三井不動産、M&A(合併・買収)を積極的に展開する住生活グループは着実に成長。建設・不動産分野の産業構造の変革を示すトピックと言えそうだ。 (グラフは主要な建設・不動産会社の連結売上高推移)

 掲載したグラフは、11月10日に東京大学の生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)主催のオープンレクチャーで千葉が講演したときに作成した資料である。「建設産業の明日を考える」と題したテーマで、建設産業をもう少しマクロ的に見て比較しようと考え、同じ座標軸にゼネコンだけでなく、大和ハウス、三井不動産、住生活グループなどの部材メーカーも加えて、連結売上高の推移を示すグラフを作成してみた。

 講演では、産業構造を考えた場合、個別受注生産を請け負うゼネコンのビジネスモデルと、サービス力を武器に様々なソリューションを提供する大和ハウスや三井不動産、基幹部品を握る部材メーカーで、事業規模が逆転したのは必然的な流れだろうと考えを述べた。

 講演の後の懇談会では、「プレハブメーカーの大和ハウスに、建設業トップの座を譲るのはやはりショックだ」との声も聞かれた。ゼネコンとしては、日本の国土づくりを担ってきた自負もあるだろうが、この10年間、思い切った戦略を打ち出すこともなく、縮小均衡に陥っていたのも事実。今後は海外進出に積極的に取り組む姿勢を示しているが、十分な準備なしに出て行けば、手痛い失敗を繰り返す懸念もあるだけに、企業格差はさらに広がることも予想される。

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