【編集後記】週刊東洋経済9月29日発売号に記事を掲載―ちょっと一息?(2008-09-25)

 週刊ダイヤモンド(9月1日発売)への記事掲載のあとも、ブログが更新されないことを怪しんでいる人がいたかもしれない。実は週刊東洋経済にも依頼されて記事執筆を進めていた。29日発売号に掲載される予定なので、こちらもぜひ、ご購読いただきたい。それにしても今月は、国内では福田康夫前首相の辞任で選挙モードが高まる一方、海外ではリーマン・ブラザースの経営破たんなど米国の金融・証券市場で大きな事件が相次いだ。さあ、ブログの更新も頑張らねば!

 先の週刊ダイヤモンドのゼネコン・不動産特集号は、ダイヤモンドとして今年最大の売れ行きとなったようだ。それだけ不動産・建設分野への社会的な関心が高まっているということだろう。サブプライム問題も、元を質せば米国の住宅ローンである。日本でもバブル崩壊後、消費者に住宅を買わせようと、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)に金利が後から上昇するサブプライムローンに似た「ゆとりローン」を商品化させて、のちのち大問題になった。誰だって多少の危険を冒しても夢のマイホームはほしいものである。

 住宅は、人間が生存していく基盤となるだけに、政治、経済、地方自治、防災など様々な問題が関連する非常にセンシティブなテーマである。しかし、これまで住宅を語るとき、快適で便利な夢のある生活を実現するための器という側面ばかりが強調されてきた。ちょっと手を伸ばせば「夢のマイホーム」が手に入れられる―そんな消費者の購買意欲を煽るような情報ばかりが氾濫するのも、住宅が非常に高額で、かつリスクの大きな商品だからかもしれない。

 住宅に関わるリスクを、もう少し消費者にきちんと説明する必要があるのではないか?2003年6月から3年間、建築家のネットワークであるアーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)のウェブサイトで「家づくりの経済学」というコラムを書かせてもらった。「家づくりって、そう簡単なことじゃないよ!」―そんなメッセージを込めたコラムを、一般事業会社がよく掲載してくれたと感謝しているが、相手の立場を考慮すると、書けなかったり、歯切れが悪くなったりした部分もあった。

 ちょうどコラムを連載している2005年11月に姉歯事件が起きた。私自身、マンションという巨大な建物を区分所有によって多数の人たちで共同所有すること自体、そもそも無理があると考えてきた。今さら、そんなことを言っても仕方がないので言わないできたが、戸建住宅ではこれだけ欠陥住宅が発生しているのに、欠陥マンションが発生したときのリスクがほとんど考慮されていないことも疑問だった。

 姉歯事件が起きたときは、改めて住宅が抱えているリスクについて議論され、消費者の認識が深まることを期待した。しかし、結局のところ建築基準法の改正などの規制強化によって問題解決を図ろうという安易な方向に流れてしまったように思える。加えて、2003年の保険業法改正に伴って見直す必要があったとは言え、瑕疵担保保証に代わって導入することになった瑕疵担保責任保険をなぜ全ての新築住宅に義務付けたのか?

 瑕疵担保責任保険とは、一般的に事業者のための保険である。全ての事業者に義務付けということは、保険に加入できない不良不適格業者や欠陥住宅を積極的に排除する狙いがあると思いきや、そういうわけでもないようだ。販売される新築住宅の全てに保険が付くことで、消費者は安心して住宅を購入できるようにするということかもしれないが、保険さえ加入していれば安心と考えて、消費者が住宅を安易に選ぶようになる方が心配である。

 そんなわけで週刊東洋経済の記事の中では、来年10月に全面施行される住宅瑕疵担責任履行法や、今年4月に見直しになった経営事項審査などの話題を取り上げてみた。今回は、あまり行数がなかったので、障りだけをまとめるだけになってしまった感じもするが、このブログやどこかで改めて書く機会もあるだろう。「家づくりの経済学」も尻切れトンボの終わっているので、ブログにリライトした上で再録し、続きが書ければと思っている。どこか出版してくれるところがあると助かるのだが…。