【編集後記】ユーザー不在のパソコン利用環境をどうしたら改善できるのか!(2007-05-07)

 自分に火の粉が降りかかって、問題の重大さを実感することは少なくない。仕事で使っていたパソコンが、突然に”死んだ”。必要最小限のデータはバックアップしていたのでモバイルパソコンで仕事は続けることはできているが、改めてパソコンの問題点を考えさせられた。いつになったらパソコンは使い勝手の良い道具に生まれ変わるのだろうか。

 いまやパソコンは、ビジネスにとって必要不可欠なツールである。若者はパソコンよりも携帯電話を重宝しているようだが、デスクワークにはやはりパソコンディスプレーの大きさは必要である。インターネット時代に入って、ITに詳しくない高齢者でさえ、パソコンを使いこなそうと必死に努力しているのに、ITベンダーにパソコンを誰もが使いやすい道具にしようという熱意が全く感じられないのは、どうしたことか。

 以前からバグだらけのパソコンには辟易させられる経験をしてきた。IT専門紙で連載してきたときも「もっと信頼性の高い安定した商品を消費者に提供する必要がある」と記事に何度か書いたことがある。最近では、携帯電話ですら顧客獲得のために、一般向けの携帯電話だけでなく、子供向けから高齢者向けまで顧客ニーズに合わせていろいろな製品が開発されている。もちろん料金プランも、ニーズに合わせて実に様々だ。

 ところがパソコンだけは、いまだに単一商品しか発売されていない。デジタルテレビが利用できるなど枝葉の機能に違いはあっても、基本的に米マイクロソフト社のウインドウズを搭載した商品だけだ。米アップルのマッキントッシュも売られているが、利用環境が違いすぎて、どちらを選んでも選択肢が限られていることに変わりはない。

 これまで私が仕事で使っていたのは「ウインドウズXPホームエディション」を搭載したマウスコンピューターのデスクトップ。512MBのメモリーに160GBのHDD、「ウインドウズMe」時代から使っていたアプリケーションソフトやプリンターなどの周辺機器も含めて、とくに不自由なく利用してきた。モバイルパソコンもXPを搭載した松下電器産業の「レッツノート」を使用しており、今年3月に「ウインドウズ・ビスタ」が発売されたと言っても、XPの利用環境を変えるつもりは毛頭なかった。

 ところが、ビスタが発売された時期辺りから、仕事用XPパソコンの調子が悪くなってきた。マウスコンピューターに修理を依頼するとしても戻ってくるまで3週間はかかる。騙し騙し使っていたが、ついに先日、購入してわずか2年で動かなくなってしまった。

 仕方なく、新しいマシンを購入しようと思い、パソコンショップに出かけたのだが、何とXPパソコンが店頭からほとんど姿を消していた。ビスタパソコンが登場してまだ半年も経っていないのに、あっと言う間にビスタパソコンだらけになっていたのだ。

 「1台ぐらいビスタパソコンを買って使い始めてみるか…」と思い、店員に相談すると、Me時代のソフトなどはほとんど利用できないことが判った。無線LANのルーターなども買い換える必要があると聞き、ディスプレーもアナログ端子からデジタル端子へと移行しているという。

 アプリケーションもビスタ対応の商品は限られていて、「ビスタの機能が安定するまでソフトメーカーも様子見してるんでしょうね」(ショップ店員)。バカバカしくなって新規購入は中止した。

 新聞などで取り上げられているリナックスパソコンも、まだ商品として一般のパソコンショップの店頭で販売されているわけではない。新規購入となれば、ビスタかマッキントッシュの二者択一。あとは、マザーボードを購入してパソコンを自作するか、中古パソコンで程度の良いものを購入するかのいずれか。何とも消費者をバカにした話である。

 果たして現状のままで、パソコンという商品が消費者に受け入れられ続けるのだろうか?ビスタ発売でも、パソコン需要は低迷が続いていると聞くが、それも当然のように思えた。マイクロソフトの傘の下に安住してきたITベンダーの罪は大きい。従来のスタンドアローン型の延長で機能拡張してきたパソコンが、そう遠くなうちに終焉を迎え、本当に誰もが使える道具に生まれ変わるのを願うばかりである。