不動産登記法の改正が先の通常国会で成立、今年度中の実施に向けてオンライン登記の準備が本格的にスタートした。不動産に関する登記の申請は表示と権利を合わせて年間1800万―2000万件と国税庁への申告件数にほぼ匹敵する。登録免許税の電子納付も同時期に実施する予定だ。登記申請を代行してきた司法書士約2万人、不動産を仲介する宅地建物取引事業者約14万業者を巻き込んで、不動産分野のIT化がさらに進むことになりそうだ。
 オンライン登記については、昨年10月の連載11回でも基本的な考え方を紹介したが、今回の法改正によって紙の権利証(登記済証)を廃止してインターネットによるオンライン申請を可能とする仕組みが整った。
すでに登記所の登記簿の磁気ディスク化は、88年の法改正でスタートしており、これまでに全体の約7割を電子化、残りも07年度の完成をめざして作業中だ。こうした状況を踏まえて、法改正には特記扱いだった「磁気ディスクの登記簿」の本則化、地図および建物所在図(いわゆる17条地図)の電子化規定の創設も盛り込まれ、不動産登記に関する全ての情報を電子、書面のどちらにも対応できる環境を整えた。
 「先の不動産登記法は過去100年間使われてきた。新しい法律も次の100年をにらんで今後のIT化がどのように進展しても対応可能な枠組みづくりをめざした」(小宮山秀史・法務省民事局民事第二課補佐官)。確かに現状では不動産取引に関する情報は、契約書や地図なども全て紙ベースでやり取りされているのが実情だが、将来的には契約書や地図などが電子化されることも十分に想定される。
 オンライン登記(不動産売買による権利登記の場合)の仕組みは具体的にどうなるのか。現在は、売主の印鑑を捺した登記申請書に、売主の印鑑証明書と売主が保有していた権利証を添付して、本人または司法書士などの資格者代理人が登記所に出頭して手続きを行ってきた。オンライン登記では、紙の権利証が廃止され、新たに本人確認のための登記識別情報(12桁程度のID番号)が導入される。印鑑と印鑑証明書の代わりは、法務省の「商業登記に基づく電子認証制度」や「公的個人認証サービス」を利用する予定だ。
 実際の手続きは、登記所に出頭する代わりに法務省のオンライン申請受付システムにアクセスして、登記申請情報に、登記識別情報と電子証明書などを添付して送信するという流れとなる。登記識別情報を消失したり、漏洩を恐れて受け取らなかったりした場合には、登記所からの事前通知手続きまたは司法書士などの資格代理人による本人確認情報の提供が必要になる。これまで通りに司法書士を通じた代理申請にも対応するために、日本司法書士会連合会では認証局を設置してオンライン申請に対応する準備を進めているところだ。
 今回の改正では「登記原因証明情報」の提供も必須化された。現在は「登記原因証書」(または登記申請書の副本)を提出し、これに登記済の判を捺して新しい権利証として買主に戻す仕組みとなっている。その権利証が廃止されるため、登記の原因となった売買契約などの証明情報の添付を必須化したわけだ。売買契約書を証明情報として利用するにも、契約書自体がまだ紙であるため、PDFファイルなどに転換して電子署名したものを認める方向で検討中。
 政府は、e-文書イニシアチブで文書保存の電子化のための法改正を行う準備を進めているが、不動産の売買契約書や地図などの電子化が進むことになりそうだ。

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