「今年度中には全国約4万の公立学校において学校単位でインターネットに接続できる環境を整えるが、さらに2005年度までには学級単位で接続できるように校内LANの環境を整える」(文部科学省生涯学習政策局学習情報政策課・尾崎春樹課長)。
いま小中高盲養の公立学校において、急ピッチで情報教育の環境整備が進んでいる。来年4月からは小中学校、03年4月からは高校で新・学習指導要領が施行され、情報教育が大幅に拡充されるためだ。
学校におけるコンピューター整備目標は、これまでコンピューター教室を設置し、中高校で1人に1台、小学校で2人に1台のパソコンを設置する水準だったが、新・学習指導要領に合わせてこれも抜本的に改定された。
「コンピューター教室では小学校でも1人1台を実現するが、最も大きく変えたのは普通教室にパソコンを各2台導入することにしたことだ」(尾崎氏)。
この目標を達成すると、生徒5.4人に1台のパソコンが設置される計算。現在の達成率は約40%で、また半分も達成できていない。
それ以上に遅れているのが校内LANの整備だ。小渕内閣時代のミレニアムプロジェクトで、校内LAN整備支援で8000校に対して国庫補助が実施されることになったが、達成率はまだ8.3%に止まっている。
「たまに誤解されるが、校内LANの整備は4万校全てで実施する。ミレニアムプロジェクトによる国庫補助は、大規模校など投資が大きいところを支援するのが狙いで、計画が達成されれば新たな計画を策定することもあり得る」という。
校内LAN整備には01年度補正でも105億円の予算が付けられ、当初計画から2年前倒しで02年度中に目標の8000校で整備を終える予定である。それでもミレニアムプロジェクト分は全体からみれば2割で、残りの8割は各地方自治体が独自に推進していかなければならない。
「必要な予算は地方交付税に盛り込んであるので、各自治体の担当者が整備計画を立てて積極的に予算を獲得してほしい」―尾崎氏はそのことを何度も強調した。
パソコンや校内LANの整備費用は、基本的に全て地方交付税に盛り込んである。補助金の場合は単年度の予算措置となるためパソコンなどの購入も原則、買い取りにせざるを得ない。地方交付税であればリース・レンタルによる導入が可能で、秒進分歩の技術革新で陳腐化しやすいIT関連機器の整備に適しているからだ。
昨年度のパソコンなどの導入実績でも、1年前に比べて買い取りが10%減少して36%に、レンタルは10%増えて60%となった。
ただ、地方交付税そのものは、色が付いていない予算であるため、積極的に要望しないと、いつの間にか公共事業費に化けてしまうということにも成りかねない。校内LANの100%整備に向けて各自治体の教育担当者を民間サイドからもバックアップしていく必要がある。