国土交通省が主催する建設産業政策研究会の第2回会合が11日に開催された。耐震強度偽装問題などで国民の信頼が揺らいでいる「建設生産システム」の問題について自由討論が行われた。
 会合の前半は、建設コンサルタント会社や中堅・中小ゼネコン、専門工事業者など、業界代表の委員から、重層下請け構造、設計・施工など業者間の責任分担、不良不適格業者の排除、ダンピング受注などの業界内の問題に対する意見が相次いだ。
 
 彼らの主張は明快だ。過当なコスト競争を辞めさせるような仕組みを作って、労働賃金の低下やコスト削減要求が続いている状況を是正することである。
 
 しかし、問題は、建設産業の過剰供給構造を放置したままで、どうやったら実現できるのか―。そうした議論はさて置いて、とにかく「ダンピング受注は辞めさせろ!」「重層下請け構造は改善しろ!」という発言ばかりが目立つ。
 
 「これじゃ、過去10年間、散々議論して有効な政策を打ち出せていない状況を打破するのは難しそうだな?」と内心、思った時である。
 
 冒頭の発言が、大成建設の荒井康博常務執行役員から飛び出した。今年1月の改正独禁法施行のあと、率先してダンピング受注を仕掛け始めたと言われる大成建設から出た”開き直り”とも受け取れる発言で、会議の流れが一変した。
 
 それまでは、適正価格を実現するには「市場競争の制限も止む無し」と受け取れる発言が相次ぐなかで、銀行や証券会社、不動産会社などから参加している委員は沈黙を余儀なくされていた。
 
 荒井発言をキッカケに「市場競争を促進して過剰供給構造の是正を進めるべき」といった世間常識的な意見が、ようやく立て続けに出されて、会議は閉会となった。
 
 次回の7月30日の会議では、再び建設産業の各団体の代表から意見を聞くヒアリングが行われるとのこと。果たして、どのような意見が出されるのか?
 
 「建設業界の人たちって、ぜんぜん”建設的”じゃないのね…」
 
 そんなダジャレを言われないように願いたいものである。

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