国土交通省が、直轄公共工事を対象に電子入札の導入を開始した。先月1日から電子入札システムによる参加手続きが開始されていたが、13日に中部地方整備局発注の案件で第1号の開札が実施された。心配されていたシステムのトラブルもなく、翌14日は東北地方整備局でも開札が行われ、今後は来年3月までに大規模事業を中心に100件の電子入札が実施される予定だ。
 記念すべき第1号開札は、霞ヶ関WANを利用して東京・霞が関の国土交通省内で扇千景大臣自らがパソコンを操作して行った。開札には、パソコンを操作する扇大臣の横に、副大臣、建設技監、官房長など幹部がずらりと並び、扇大臣のパソコンに連動した大型スクリーンを通じて開札を見守った。
 開札した工事名は東海環状中屋敷高架橋上部工工事(予定価格:5億2220万円)で、入札方法は公募で集まった入札希望業者から技術資料などの提出を求め、その中から発注者が入札参加業者を指名する公募型指名競争入札だった。
 入札には11社が指名され参加したが、うち9社が電子入札、2社は紙による入札を行ったという。これらの札を同時に開いた結果、昭和コンクリート工業が予定価格を約5%下回る4億9500万円で落札した。落札結果は、インターネットを通じて企業に通知された。
 電子入札は、今年施行された公共工事入札契約適正化法の趣旨を踏まえて、透明性の向上、競争性の向上を図るのが狙いだ。国土交通省の直轄事業は年間4万件あるが、02年度にはその半分の2万件には電子入札を適用する。さらに、4万件全てへの適用は、当初の予定では04年度を予定していたが、これを1年前倒しして03年度には実施したい考えだ。
 今後は地方公共団体が発注する公共工事への普及・促進が課題となる。国土交通省では、これまで開発してきた技術・ノウハウを地方自治体に対して無償で提供するほか、補助事業を通じた財政的な支援も実施する考えだ。
 地方への普及・促進に力を入れる背景には、仕様が異なる電子入札システムが乱立した場合、発注者、受注者側の双方で負担が生じる懸念があると指摘する。国土交通省の試算では、もし50の方式が乱立した場合、受注者側がそれぞれのシステムに対応するための負担増が年間1兆円に達するという。
 発注者側にも初期開発費の重複投資によるロスが発生するとしており、今後は中央省庁や地方自治体が参加する電子入札コアシステム開発コンソーシアムを通じて電子入札システムの標準化を進めていく考えだ。

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